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【松山英樹マスターズ優勝】「ザ・マツヤマ」という名のショータイム…見事な勝ちっぷりを予感させた変化とは?「自分が正しいと思い過ぎていた」
text by
舩越園子Sonoko Funakoshi
photograph byGetty Images
posted2021/04/12 11:03
悲願のマスターズ優勝を達成した松山英樹。ローアマ獲得から10年、日本人初の快挙だった
2021年からは目澤コーチを伴って米ツアーに挑み始めた。なかなか結果や数字にはつながらなかったが、1人で苦しんでいた松山に信頼できる人物が寄り添って2人になったことは、技術のみならず精神面にも好影響をもたらした。
「自分ひとりで、何がダメだとか、フィーリングだけでやっていた。自分が正しいと思い過ぎていた。コーチを付けて、今は客観的な目をもってもらいながら正しい方向に進んでいる」
頑固なまでに「自分だけ」を貫いてきた松山が、そんな言葉を口にしたのは初めてだった。勝利から遠ざかり、苦しんだ4年間の歳月は、松山に謙虚さをもたらした。そうやって気持ちの上で成長し、変化したことが、彼のゴルフそのものの変化と成長につながった。
その先に待っていたのが、マスターズ優勝だった。
「朝からずっと緊張していて、最後まで緊張しっぱなしだった。自分のベストを尽くすことだけを考えていた。僕が勝ったことで、これから日本人も変わっていくんじゃないかなと思う。日本人もできるとわかったと思う。僕もまだまだ頑張るので、みんなメジャーを目指して頑張ってほしい」
こうして10年を振り返れば、そこにはまるで最初から筋書きがあったようにさえ感じられるから不思議だ。
10年前、マスターズに初出場した松山は「アーメンコーナーって、何が難しいんだろう?」と、ちょっぴり得意げに首を傾げて見せたりもしていたが、10年後の今年、すっかり大人になった松山は、怖さも攻め方も知り尽くしたアーメンコーナーを見事に乗り切り、4日間72ホールを誰よりも見事に攻め切り、憧れのグリーンジャケットをついに羽織った。
これからさらに5年、10年と、松山の物語は、これからも続いていくはずで、その続きを見るのが、今からもう待ちきれない。
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