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女優でレスラー・なつぽいが“白いベルト”中野たむ戦で見せた「呪い」の感情 泣き顔で連続ビンタ、水かけ、顔面蹴り...

posted2021/04/08 11:00

 
女優でレスラー・なつぽいが“白いベルト”中野たむ戦で見せた「呪い」の感情 泣き顔で連続ビンタ、水かけ、顔面蹴り...<Number Web> photograph by Masashi Hara

なつぽい(右)はかつてタッグを組んだこともある中野たむへの複雑な思いを抱えながら試合に挑んだ

text by

橋本宗洋

橋本宗洋Norihiro Hashimoto

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Masashi Hara

 スターダムのワンダー・オブ・スターダム王座を保持する中野たむは、この通称“白いベルト”を「呪いのベルト」と表現している。

 赤いベルト=ワールド・オブ・スターダム王座が最高峰の実力の証なら、白いベルトは選手同士のストーリー、それぞれの思い入れ重視。「お前にだけは負けたくない」、「許さない、ぶっ潰す」というドロドロとした感情をぶつけ合うものだというのがたむの定義だ。

 たむ自身、このベルトを巡ってジュリアと激しい抗争を展開。ついには3月3日の日本武道館大会で敗者髪切りマッチを行なうことになった。そしてこの試合で勝ち、たむは白いベルトを巻く。

 初防衛戦は4月4日の横浜武道館大会。挑戦者はハイスピード王座を持つなつぽいだ。昨年秋、リングネームを万喜なつみから変えてスターダムに参戦してきたなつぽいは、たむと元同門だった。

 “女優によるプロレス団体”を標榜するアクトレスガールズの旗揚げ戦で万喜なつみがデビューしたのは2015年5月のこと。子供時代から芸能界で活動し、バトントワリングで全国大会に出場した経歴も活きた。誰が見ても華のあるレスラーだったと言っていい。

 たむがアクトレスガールズに入ったのはその1年後。彼女も芸能界からのプロレス挑戦だ。ノンフィクション番組にも取り上げられたグループ「カタモミ女子」のリーダーを務めていた。

アイドルとして成功できなかったたむ

 お互いを「なっちゃん」、「たむちゃん」と呼び、タッグも組んだ2人。しかしほどなく道が分かれる。2017年、たむは大仁田厚のイベントに出場すると電流爆破デスマッチを経験。さらにアクトレスガールズを離れ、スターダムへ。

「アクトレスガールズの初期は私と(安納)サオリが2トップと呼ばれていて。いま思えばそれに守られている部分もあったと思います。たむちゃんはそのことを意識していたのかもしれないです。昔から頭がいいし真面目だし、凄い“仕事脳”だったので」(なつぽい)

 アイドルとして成功できなかったたむはプロレスに懸けていた。だがそこには抜群の輝きを放つ“2トップ”がいた。では自分には何ができるのか。たむは違う道で勝負することを選んだ。スターダムではユニットを移り変わり、何度も手痛い敗北を喫しながら自分だけのポジションを確立する。

 “宇宙一かわいい”をキャッチフレーズにアイドルとしての存在感を発揮しつつ、誰よりも泥臭い。感情むき出しの試合ぶりはジュリアとの闘いでさらに際立った。ついには武道館のメインだ。武道館という舞台に上がることは「アイドル時代にあきらめた夢の一つ」だった。それがプロレスラーになって叶った。

【次ページ】 「女優になりたいのになんでプロレスなんか」

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