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武藤敬司の“ノア電撃入団”はいかに実現したのか 「経営面となると、俺は会社をふたつ潰してるからね(笑)」
posted2021/04/11 17:01
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Tomosuke Imai
プロレスリング・ノアの2.12日本武道館大会で、武藤敬司が潮崎豪を破りGHCヘビー級王座を奪取。58歳にして、新日本プロレスのIWGPヘビー級、全日本プロレスの三冠ヘビー級選手権を含めた、「国内主要3団体シングルヘビー級王座戴冠」を成し遂げたことは、大きな話題となった。
そして“グランドスラム”達成の3日後、武藤は電撃的にノア入団を発表。これによって、ノアという団体の注目度も急激に上がっている。
ノアは昨年1月29日にサイバーエージェント傘下入り。9月1日からはサイバーエージェントのプロレス事業子会社、株式会社サイバーファイトのブランドとなり、インターネットTV「ABEMA(アベマ)」で月2回ペースの試合配信をすることで露出度を増していたが、超大物・武藤の入団は、団体としての勢いを感じさせるニュースといえるだろう。
この武藤のノア入団は、昨年行われた、サイバーエージェント専務執行役員の山内隆裕氏、ノア前社長でサイバーファイト取締役の武田有弘氏との会食の席で、武藤がサイバーファイトの今後の戦略に共感したことがひとつのきっかけと言われている。
今回はその3人に再び揃ってもらい、武藤敬司のノア入団の経緯とサイバーファイトの今後の展望について話を聞いた。
「美味しいものを食わせてもらったから(笑)」
――まず山内さん、武田さんと武藤さんの関係をうかがいたいのですが、武田さんは新日本プロレス時代からの縁があるんですよね。
武田 そうですね。新日本に始まり、全日本プロレス、WRESTLE-1も少し、そして今のノアと、武藤さんが所属した全団体で、何かしら一緒に仕事をしています。
――山内さんと武藤さんの最初の出会いというのは?
山内 去年コロナが一度落ち着いたときに食事をさせていただく機会があり、そのときに初めてお会いしました。
――どういったきっかけで会食することになったんでしょうか?
山内 武田さん、高木社長(高木三四郎・サイバーファイト社長)と月に何回かサイバーファイトのミーティングを行なっているんですが。今後、どうやってノアやDDTを伸ばしていくかという話の中で、「カギとなる有力選手が何を考えているのかが知りたい」ということを、僕が申し出たことがあったんですね。そうしたらすぐに、「武藤さんはどうですか?」って言われて、お時間も割いていただけたのでお会いしたということです。
――その会談が、武藤さんのノア入団に向かう最初のきっかけになった感じですかね?
武藤 まず美味しいものを食わせてもらったからさ(笑)。美味しいワインとともにね。
――これはいい流れになるぞと(笑)。山内さんは、そのとき武藤選手にどんな印象を持ちましたか?