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“イギリスのボーイ”オスプレイが飯伏からIWGP世界ヘビー奪取 「オマエたちがオレをモンスターに変えたんだ」
posted2021/04/06 11:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
初代IWGP世界ヘビー級王者・飯伏幸太の完敗だった。挑戦者ウィル・オスプレイとの初防衛戦は詩的でスリリングなものだったが、オスプレイの首折り技ストーム・ブレイカーを浴びた飯伏は初防衛に失敗した。飯伏はリングに横たわり、しばらく立ち上がることができなかった。
4月4日、両国国技館のリング上ではオスプレイの勝利のマイク・パフォーマンスが始まった。「5年間」というオスプレイの言葉には戴冠の歓びと感傷が入り混じっていた。
5年前の2016年4月10日、オスプレイは両国国技館で日本デビューを果たした。IWGPジュニアヘビー級王者KUSHIDAに挑んだが、敗れた。「失敗」という言葉にオスプレイは支配されていた。バックステージの通路の壁に額を打ちつけてこの世の終わりのように、涙目でその「失敗」を悔しがった。オスプレイにとっては忘れられない出来事だった。
「イギリスのボーイがプロレスラーになんかなれない。イギリスのボーイが日本でスターになれるわけがない。スーパージュニア優勝は無理だ。IWGPジュニアのベルトを巻けるわけがない。そう言われ続けてきた」(オスプレイ)
「ここで謝る気はさらさらない」
オスプレイはベスト・オブ・ザ・スーパージュニアで2度の優勝、IWGPジュニアヘビー級王座には3度ついた。だが、それに満足せず、ジュニアの戦いに別れを告げたオスプレイはヘビー級の頂点を目指した。
「イギリスのボーイがIWGP世界ヘビー級王者になれるわけがない。だが、いまここに立っているのは誰だ。ニュージャパンに来て5年。再びこの両国で、オレがデビューしたこのリングにオレは立っている。オレは良い人間ではないし、間違いだって犯してきた。しかし、ここで謝る気はさらさらない。オレたちユナイテッド・エンパイアはこれからも思うがまま、好きなようにさせてもらうぞ。オレたちにはそれだけの力がある」(オスプレイ)