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前田健太&ダルビッシュ有は“非情の交代”か? “開幕投手”の難しさと見事だった「2003年の野茂英雄」 

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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posted2021/04/05 18:10

前田健太&ダルビッシュ有は“非情の交代”か?  “開幕投手”の難しさと見事だった「2003年の野茂英雄」<Number Web> photograph by Getty Images

自身初のメジャー開幕投手を務めた前田健太と2度目のダルビッシュ。ともに開幕初勝利を掴むことはできなかった

 メジャーでは開幕戦は90球程度、その後、少しずつ球数を増やし、最終的には110球程度までリミットは増える。稀にシーズン半ばに120球を超えるケースはあるが、ノーヒッターや完封勝利がかかった場合だけだ。

26人の開幕投手中、勝利投手になったのは……?

 今年は30球団同日開幕の予定だったが、ナショナルズは開幕前の新型コロナウイルス検査で選手1人の陽性が判明し、濃厚接触者を含む5選手が出場できなくなりメッツとの開幕戦を延期した。レッドソックスは本拠地でのオリオールズ戦が悪天候のため順延。結果、4月1日の開幕は26球団、13試合となった。

 その中で開幕投手の平均投球数は約82球。最多が99球を投げたマリナーズのマルコ・ゴンザレスで95球以上を投げたのは、ヤンキースのゲリット・コール(97球)、インディアンスのシェーン・ビーバー(95球の3人だけだった。

 そして、驚くべきことは26人の開幕投手中、勝利投手となったのは、降雪のデトロイトで投げたタイガースのマシュー・ボイドとアストロズのザック・グリンキーの2投手だけ。開幕勝利投手率はわずか7.7%。1割にも満たなかったのである。

 開幕戦は1球1球への精神的な疲労度も他の試合とは違ってくる。球数もいつもより多くなってしまうのも仕方のないところ。その中でリードを保ち5回以上を90球以内にまとめなければならない。開幕投手が勝利投手の権利を手にすることが普段の試合より難しいのは定説だ。

見事としか言いようがない「2003年の野茂英雄」

 過去、日本人投手で開幕投手を務めたのは、野茂英雄が00年のタイガース時代と03年と04年のドジャース時代に3度。松坂大輔はレッドソックス時代に08年の日本開幕戦で投げ、09年にはドジャース時代の黒田博樹が務めた。ヤンキースに在籍していた田中将大は15~17年と19年に日本人最多の4度、ダルビッシュ有は17年にも務めた。

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