酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
大谷翔平、今季は“リアル二刀流”でフル回転か 狙える数字を“皮算用”すると打者で35本塁打、投手で奪三振は…
posted2021/04/03 11:02
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph by
AP Photo/Mark J.Terrill/AFLO
「捕らぬ狸の皮算用」というと、これから起こることを先回りして喜んでしまって馬鹿を見ることだが、プロ野球ファンにとって「開幕」の楽しみは「捕らぬ狸の皮算用」をすることに尽きるのではないか。
今年はとりわけ大谷翔平だ。
2021年の大谷は投打でフル回転すると予想されている。そもそも昨年はMLBの公式戦は60試合だけ。無観客で、移動を最小限に抑えるためリーグ関係なしに同地区のチームと対戦したにとどまった。大谷にしても野球をした実感がなかっただろう。
<今年のスプリングトレーニング、大谷翔平の投打成績>
投手
4試合10.1回15被安打4被本塁打10与四球17奪三振 防御率12.19
打者
12試合31打数17安打5本塁打8打点2盗塁 打率.548
打撃成績を見れば、「野球をしたい」と言う大谷の気持ちがはじけたことがうかがえる。
投手としては決していいとは言えない成績だが、3月21日のパドレス戦で4回2被安打2与四球5奪三振、自責点1の好投を見せて「投手でいけるのではないか」という期待感を抱かせたのだ。
今季の大谷翔平はどこまでやるのか。「捕らぬ狸の皮算用」をしてみよう。
「リアル二刀流」の方針を打ち出している
大谷の起用に関して、エンゼルスのマドン監督は、これまでと大きく違う方針を打ち出している。
MLB移籍後、大谷は「投手・大谷翔平」と「打者・大谷翔平」をきっちり区切って起用されていた。大谷が打席に立つのはDHで起用された試合だけ。投手で出場する試合では、大谷は打線に名前が載らない。また「投手・大谷」を起用する試合の前後では、打者としても起用することはなかった。
大谷は打者としてはMLBでの3年で254試合に出場しているが、DHか代打、代走での出場であり、投手としては一度も打席に立っていない。
投手としての負担を軽減したいという指揮官の配慮からだが、マドン監督は、大谷のコンディションが良好であれば、投手として登板している試合も打席に立たせる方針を打ち出した。
いわゆる「リアル二刀流」である。