球速147キロ→140キロ弱までガクンと落ちて…注目度ナンバー1右腕・小園健太に何が起きたのか？【センバツ】

　2人の小園健太がいた。

　大会7日目第3試合、市和歌山の先発は新2年生の控え投手・米田天翼。今大会、ナンバー1投手とも言われ、初戦で完封勝利をあげたエースの小園は後方待機に回った。

「トーナメントを勝ち上がっていくためには、僕がずっとというわけにはいかない。特に驚きはしなかったですね」

　0−1と明豊相手に1点ビハインドで迎えた5回表、小園がいよいよマウンドに上がる。

「流れを引き戻そうという思いでマウンドに立った」

　先頭の7番・太田虎次朗に対し、オール直球勝負で、いきなり3球三振に切ってとる。最後の低めのストレートは、この日、最速となる147キロをマーク。ネット裏にミットを叩く乾いた音が響き渡った。

　続く打者は三塁ゴロに打ち取り、3人目の打者は、再び、低めにストレートを突き刺し見逃し三振を奪った。

　球場の雰囲気が絵本のページをめくったようにガラリと変わる。「小園劇場」を予感させた。

　初戦の小園は立ち上がり「初めての甲子園で緊張した」といきなり先頭に四球を与えたが、この日の小園は別人だった。

「とても怖い場所だとも思いました」

　だが、徐々に、そんな小園が変調をきたす。まずはストレートの球速が140キロ前後にガクンと落ちた。小園はこう回想する。

「5回の立ち上がりに関しては、ストレートも走っていたし、変化球もいいところに決まっていた。でも、そこから、相手と戦っているというよりは、自分と戦っているというような最悪のピッチングをしてしまった」

　なぜか。その要因は6回裏の攻撃にあったという。

【次ページ】　「とても怖い場所だとも思いました」