注目度ナンバー1投手、小園健太（市立和歌山）の“想定外”「なぜ初戦でチェンジアップ＆カットボールを控えた？」【センバツ】

　不敵。

　今大会注目度ナンバーワンの市立和歌山・小園健太が第4日の第1試合に登場。県岐阜商相手に鮮やかな完封勝利を収めて2回戦進出を決めた。得点圏にランナーを背負うこと6度。それでも小園は動じることなく強力打線を封じて見せた。

「初めての甲子園で緊張して持ち味の制球力を出せなかった。その中でも要所要所でスライダーが切れていたので、スライダーを主体にしながら、ストレートでも仕留められたのがよかった」

　この日の小園が強みを見せたのは目まぐるしく変わる試合展開の中で見せた対応力だ。

　県岐阜商の鍛治舎巧監督はあの手この手で策を練ってくる戦略重視型の指揮官だ。狙い球を徹底して絞ることはもちろんのこと、エンドランなどの作戦、カウント途中からの代打策……しかし、小園はそれらをものともしなかった。

小園「バントしてくれるのか」

　その一つ目が執拗なまでの送りバント。徹底して得点圏にランナーを進める狙いは小園にプレッシャーを掛けるためだろう。時には1アウトであっても得点圏に走者を進めてきた。しかし、小園はそれは「よかった」とこう振り返る。

「県岐阜商はエンドランを仕掛けてくるチームだと思っていました。だから、バントしてくれるのかという気持ちでした。セカンドにランナーが行くことになっても、バントしてくれる方がありがたかった。そこはよかったですね」

　事実、小園はほとんどの相手のバント機会において2球以内で決めさせている。際どいコースに投げて、バント失敗を狙うのではなく、「アウトをもらえる」とカーブや抑え気味のストレートを投じていたのだ。バントを決めさせて、アウトカウントを稼いだ上で得点圏からギアを上げるのは容易だったようだ。

県岐阜商戦に先発した市和歌山・小園健太。完封勝利を収めた　©KYODO

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2度の「カウント途中から代打」

　次に、この日、鍛治舎監督は2度にわたって、カウント途中から代打を送っている。1人目は、6回表の先頭打者の2ストライクから。2度目は8回2死一、二塁の場面の1ストライクを取ったところだ。

　すでに投球に入っているところで、少しのインターバルがある上、相手打者がどういうタイプかもわからない難しさがあるはずだが、小園は冷静だった。

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