酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
高校野球部員が“6年で19%減”… 初センバツの公立・三島南の監督が語る「幼稚園児への普及」に力を入れる理由
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/03/19 17:02
三島南高校は野球普及活動などが評価され、21世紀枠でセンバツ初出場を果たした
「静岡県内では、ダークホースとか、ジャイアントキリングを起こすチームだと言われていますが、どんな展開でも諦めることなく、勝つために何ができるかを選手一人ひとりが考える野球が持ち味だと思っていますし、ゲームセットの瞬間まで勝負は決まらないと思っています。今、チームが掲げる『100%野球』の通り、持てる力のすべてを出したいと思います」
わずか6年で競技人口が19%減少という事実
日本高野連の発表によれば、2020年7月末現在の硬式野球部員は13万8054人。2014年には17万312人だったから、わずか6年で19%も競技人口が減少している。「野球離れ」は深刻だ。高校野球、そして日本野球の将来を展望するうえでも、中学生以下の野球人口の維持拡大は喫緊の課題になっている。
そもそも「センバツ=春の甲子園」は、地方大会を勝ち抜いて出場する「夏の甲子園」とは別個の価値観で学校を“選抜”することを目的として始められた。
その基準は「高校生らしさ」だと言われている。
大好きな野球の「未来」のために、選手たちが弟、妹世代に野球の楽しさを伝える三島南の活動は「今どきの高校球児らしい」活動だと言えよう。
これを契機として「野球普及活動」が、選抜出場の重要な選考基準になればよいと思う。
「甲子園に出るために普及活動をするのは動機に問題がある」と言われるかもしれないが、どんな動機であれ高校球児が子供たちに野球の楽しさを教えれば、野球に取り組む意識がガラッと変わるはずだ。その結果としてセンバツ高校野球に「200年構想枠」ができても良いだろう。
三島南高校の甲子園出場は、いろんな意味で歴史的なことだ。初めての甲子園で精いっぱい頑張ってほしい。
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