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キング・ペレの息子が麻薬売買組織にハメられた? 代理人も頭を悩ます有名選手の“転落人生”、その要因とは
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byAP/AFLO
posted2021/03/16 17:02
1977年頃のペレと息子のエジーニョ
「ペレの息子」として比較されることのつらさ
――エジーニョとの付き合いは?
「僕が1994年から1995年にかけてサントスでプレーしていた当時のチームメイト。キング・ペレの息子でありながら、非常に謙虚で気取らない。人間性が素晴らしい。もう30年近い付き合いで、兄弟のような間柄だ」
――エジーニョが麻薬関係の問題を起こしたことをどう思いますか?
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「ペレの息子ということで、彼は常に大勢の人に取り巻かれる。その中には、いかがわしい輩も少なくない。そういう連中との付き合いは非常に慎重にするべきなんだ。
ただ、デリケートな問題なので、本人から詳しいことは聞いていない」
――ペレの息子という境遇は、一体、どのようなものなのでしょうか?
「決していいことばかりではない。幼い頃から、常に『エジーニョ』ではなく『ペレの息子』として周囲から見られ、比較をされる。そのことで、彼は非常につらい思いをしてきた。しかし、そのことに気が付く人はほとんどいない」
教育と躾の重要性は理解されつつある。しかし……
――橋本氏は「ブラジル人選手がこれほど多くのトラブルを起こすのは、学校と家庭における教育と躾に問題があるから」と言っています。
「同感だね。ブラジルでも、教育と躾の重要性は理解されつつある。しかし、欧州や日本と比べるとまだまだ不十分だ」
――集団婦女暴行容疑のロビーニョ、愛人を殺害したブルーノ、自宅へ放火したブレーノら他の選手のトラブルについては?
「ロビーニョはサントス出身だけど、僕とは世代が違うから、直接、知っているわけではない。他の選手とも、個人的な交友はない。でも、皆、とてつもない才能の持ち主だったから、本当に残念だ。彼らが自らの誤った行動によって本来なら歩むはずだった輝かしいキャリアを失ったことは、本人だけでなくブラジルと世界のフットボールにとって巨大な損失だ」
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橋本氏とデメトリオス氏の思いと考えには、共通点が多かった。