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大相撲の“3.11” 被災地を訪れた力士たちの涙と誓い
text by
佐藤祥子Shoko Sato
photograph byShoko Sato
posted2021/03/12 17:02
10年前、大相撲の被災地慰問。横綱白鵬の土俵入りも行われた
「東北出身といっても、若いだけではなく、ある程度の経験があって”即戦力”となる力士を、5つの一門から6名ずつ選抜したんです」
そう担当親方が話していたが、”ちゃんこの精鋭部隊”といえる30名の裏方力士の働きぶりには、目を見張った。振る舞われたちゃんこ鍋は計1万2200食に及び、水から箸から器まで、すべてを相撲協会が“手弁当”で持参。巡業用トラック2台が帯同し、テント設営も、すべてが力士たちの手によるものだったのだ。担当親方から「来た時よりも綺麗にして帰るんだぞ!」と檄が飛ぶ。
被災者を笑顔にさせる大男たち
まさに「気が優しくて力持ち」。力士たちの頼もしさを、目のあたりにすることになる。老若男女の誰もが、「お相撲さんだ! うわ、大きい~!」「ちゃんこって初めて食べたわ、おいしいわねぇ」などと、顔をほころばせ、つかの間の笑顔を見せてくれていた。
某首長の一言が、心に染み入る。