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バルサ低迷の元凶、史上最低な「のび太」前会長逮捕… メッシも呆れた“その場しのぎの対応”と世論操作とは
posted2021/03/12 11:02
text by
工藤拓Taku Kudo
photograph by
Daisuke Nakashima/Getty Images
バルサの会長選挙まで1週間を切った3月1日、前会長ジュゼップ・マリア・バルトメウがカタルーニャ州警察に逮捕された。
同日朝、州警察はカンプノウのオフィスで家宅捜索を行い、その場でクラブCEOのオスカル・グラウ、法務部門の最高責任者ロマ・ゴメス・ポンティを逮捕。さらにバルトメウと元会長顧問のジャウマ・マスフェレールをそれぞれの自宅からラスコルツの警察署へ連行した。
彼らにかけられた容疑は、昨年2月に発覚した「バルサゲート事件」への関与だ。
SNS上で複数の架空アカウントを用い、バルトメウと利害関係のある人物を中傷する。昨年2月にラジオ「カデナ・セール」がスクープした疑惑の被害者には、ジョアン・ラポルタら対抗勢力や大手メディアの会長、複数のジャーナリストに加え、グアルディオラやメッシ、ピケまで含まれていた。
姑息な世論操作は2017年から行われていた
呆れたことに、そのような姑息な世論操作が2017年から行われ、そのために100万ユーロ近いクラブ予算が費やされていたという。しかも委託した企業への支払いを小分けにし、クラブ内の会計監査を逃れていたというのだから、当人たちには間違いなく「悪いことをしている」という自覚があったはずだ。
中でもマスフェレールはバルサゲートの委託先「I3ベンチャーズ」との契約を取りまとめた"首謀者"であり、事件発覚後に執行部から職務停止処分を受け、昨年10月にバルトメウが辞任した直後にクラブを追われていた。
もちろんまだ彼らは罪が確定したわけではなく、現段階では捜査に必要な取り調べを受けた「重要参考人」に過ぎない。グラウとゴメス・ポンティは当日に、バルトメウとマスフェレールは留置所で一夜を過ごした後に条件付きで釈放されており、今後は判事が定めた日時に出頭し、裁判を行なっていくことになる。