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【高橋大輔35歳に】パトリック・チャンも称えた「スピードと品格」とは? 今も追求するフィギュアの美しさ
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byAsami Enomoto
posted2021/03/16 06:00
35歳となった高橋大輔。現在はアイスダンスで新境地を開拓している
自分は弱いですけれど、それを埋めようと……
<名言3>
自分は弱いですけれど、だからそれを埋めようと、練習を一杯する。
(高橋大輔/Number749号 2010年3月4日発売)
◇解説◇
バンクーバー五輪で日本男子フィギュア史上初の銅メダルを獲得した高橋は、「自分は弱い」と素直に認める。当時ライバルだった小塚崇彦や織田信成の実力を目の当たりにして、「負けそうになって、へこんだ」自分を許せなくて、練習に力を入れるのだという。
自分の弱さを直視し、それを克服する力があったからこそ、銅メダルという結果を引き寄せたのだろう。五輪直後の3月の世界選手権では、これまた日本男子フィギュア史上初となる金メダルを獲得した。
<名言4>
皆さんも巻き込んで一緒に盛り上がっていきたいと思ってます!
(高橋大輔/NumberWeb 2020年11月27日配信)
◇解説◇
フィギュアスケート界に驚きのニュースが流れたのは2019年9月のこと。高橋がシングルの競技活動を終了するとともに、翌シーズンからアイスダンスに転向。村元哉中とともに2022年北京五輪を目指すという発表をしたからだ。
これまで日本フィギュア界はアイスダンスやペアを志望する男子選手が少なかったこともあり、なかなか脚光が当たらなかった。そこに高橋と村元のチーム結成というサプライズが生まれたのだ。
2020年のNHK杯に向けて、高橋は冒頭のように意気込みを口にしていた。コロナ禍ではあるが、観客の人々とフィギュアスケートの美を共有したい――そんな思いがあふれた言葉だった。“氷上の社交ダンス”とも称されるアイスダンスでの初実戦は総合157.25点で3位。その結果以上に得たものは大きかったようだ。実際、高橋もこう語っている。
「哉中ちゃんは華やかで魅力的なスケーターなので僕も負けないように、カップルですがライバルという気持ちを持ちながら、良い化学反応を起こせればいいかなと思います」