月刊スポーツ新聞時評BACK NUMBER
「ゲリラが王道を制す」夕刊紙、タブロイド紙の野次馬精神が斬り込んだ「森喜朗辞任騒動」の本当の論点
posted2021/03/03 11:01
text by
プチ鹿島Petit Kashima
photograph by
Kyodo News
2月を振り返ると、2月3日に森喜朗氏の例の発言の第一報があったので森喜朗月間だったとも言える。
話が長くなるのでこの「月刊スポーツ新聞時評」で触れるのは次の一点にします。
それは「夕刊紙・タブロイド紙が元気だった」ということ。
東スポや日刊ゲンダイや夕刊フジなんていつも元気じゃないかと思う方もいるだろう。しかしあの野次馬精神やフットワークの軽さは東京五輪に関してはマスコミとしての王道感すら出していたのだ。
それはなぜか?
私なりの答えを書く前に、面白かった記事をあげてみます。まず東スポ。
『“天敵”山口香理事が森喜朗会長に辞任勧告「外れていただければ、五輪は希望が残る」』(2月6日 東スポWeb)
この記事はSNSではトレンド入りするほどバズっていた。
そりゃそうだろう。みんな山口香氏の話を聞きたかったからだ。昨年の今頃、誰も何も言わない空気のなかで山口氏は開催の延期をハッキリ主張していた。五輪関係者ではちゃんと物申す人として認知されている。
山口香理事のズバリ一本
そんな山口氏に直撃。
《私は話は長くないわよ(笑い)。ただ、意見はちゃんと言う。疑問に思ったことをストレートに発言し、とことん議論するのが理事会ですから。でも、そういうスタイルが嫌いな人もいるでしょ。》
ここからの、
――ずばり、森会長は辞任すべきだと思うか
山口 そうですね、私は会長は自ら退くべきだと思います。
一本! きれいに決まった。いち早く辞任勧告を載せたこの記事が読まれたのは当然だろう。
続いて面白かったのは「日刊ゲンダイ」の次の記事。