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「全部追いかけてしまうからね」ヤクルト・坂口智隆はなぜ積み上げた“知識”を捨てる気なのか?  

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佐藤春佳

佐藤春佳Haruka Sato

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posted2021/02/25 11:02

「全部追いかけてしまうからね」ヤクルト・坂口智隆はなぜ積み上げた“知識”を捨てる気なのか? <Number Web> photograph by Haruka Sato

ヤクルトの坂口智隆は37歳になる今年も更なる進化を期待させる

「三十後半になってもこんなに動けるんだなって」

 ワイルドな風貌とは裏腹に、坂口は実に献身的な選手だ。弱音や愚痴を絶対に漏らさず、黙々と努力を重ねる姿だけではない。打席では「塁に出る」、或いは「走者を進める」という意識が明確で、配球やコースへの対応も細やかだ。2015年シーズン限りでオリックスを退団後、新天地で復活を遂げたのは『野村ID』以降、「打席の中の決め事」が12球団で最も多いと言われるヤクルトの野球との親和性が高かったことも大きかった。

 年月と共に積み上げた「知識」は地層のように重なり最強の武器になったが、同時に「迷い」も生んだ。

「全部追いかけてしまうからね。知識が増えてよかった部分もあるけれど、それに頼りすぎないようにしようっていうのは今年は特に感じている。若い時のがむしゃらな感じに少しね、シフトチェンジしてみようかなとも思う」

 コロナ禍で開幕が遅れた昨年の自粛期間中には、実際に自身の家の中の断捨離にも取り組んだという坂口は、打撃においても必要なものを見極めて削ぎ落とす、原点回帰のサイクルに入っているようだ。

 7月に37歳を迎える。「シワが増えたね。化粧水をつけるようになったもん」と頬をなでながらも、年齢には絶対に負けないという自信をのぞかせる。

「想像してた37歳とは違うかな。三十後半になってもこんなに動けるんだなって思う」

 新外国人のサンタナはコロナの影響から来日の目どが立っておらず、坂口にとっては開幕からのスタートダッシュが1年間のレギュラー争いのカギとなる。2年連続最下位から再起をはかるチームのなかで、ベテランはハングリーに自身の価値を示し続ける。

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