酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
今永昇太に山崎康晃、三上朋也や田中健二朗の鋭い眼光… 仁志敏久監督とDeNAファーム春季キャンプの充実ぶり
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo
posted2021/02/23 17:04
主力クラスの選手が数多くいたDeNAファームのキャンプ
守護神の山崎は100番代の投手と…
室内練習場では山崎康晃が100番代の投手とともに、ダッシュを繰り返していた。
時折笑顔を浮かべていたが、その目は笑っていない。トレーナーは若手選手にはタイムを伝えたり、走り方のアドバイスをしたりしたが、山崎には声はかけない。彼のクラスになればやるべきことはわかっている。黙々と身体を動かし、自分のペースで調整をしている(22日の練習試合ではピンチを背負いながらも1イニング無失点)。その体からは間違いなくオーラが出ていた。
31歳三上&田中健二朗が見せていた“漢”の表情
嘉手納野球場のブルペンは小さい。しかしマウンドとホームベース辺りには屋根がついているので、雨でも使うことができる。
この日は三上朋也がダイナミックなフォームでボールを投げ込んでいた。この投手も2016年から3年連続で20ホールド以上を挙げて「勝利の方程式」を担ったが、昨年は10試合の登板にとどまった。
筆者は、細面で優しい風貌の投手という印象を持っていたが、春季キャンプにいたのはひげを蓄えた31歳の“漢”の顔だった。捕手が雨に濡れたボールを手で拭いて返球している。
背番号「046」の左腕投手が小気味よいフォームから投げ込み始めた。田中健二朗だ。ワンポイントリリーフとして度々チームのピンチを救ってきたが、2019年8月にトミー・ジョン手術を受けて昨年から育成選手になっている。
鋭い眼光は以前のままだ。高卒から14年目、31歳で再起を目指す左腕は、このあと晴れ間が再び見えたメイングラウンドでバッティング投手を務めた。
投手陣を見つめるのは叩き上げの大家コーチ
雨が降ったりやんだりのブルペンで、投手陣を見つめているのは背番号「78」の大家友和ファーム投手コーチだ。横浜(当時)からMLBに挑戦し、マイナー契約からメジャーに這い上がった叩き上げだ。プロ野球春季キャンプには、現役だけでなく、指導者にもこうした「物語」の持ち主がたくさんいる。
仁志監督にリモートで話を聞けることに
仁志敏久ファーム監督へのインタビューはリモートになった。キャンプ上がりのお疲れのところ、時間をいただいた。