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共同通信杯は皐月賞に“直結”? 今月で引退・蛯名騎手とイスラボニータが歩んだ2014年のクラシック道
posted2021/02/12 17:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
2014年の皐月賞(GI)。牡馬クラシック第1弾となるこのレースで、1番人気に推されたのはトゥザワールド。単勝は3.5倍。単勝5.1倍の2番人気でこれに続いていたのがイスラボニータだった。
イスラボニータは父フジキセキ、母イスラコジーン。2019年に定年で厩舎を解散した栗田博憲調教師が管理し、今月一杯をもって騎手を引退する蛯名正義騎手が手綱を取っていた。
また、父のフジキセキは1994、95年の現役時代、1つのGIを含む4戦4勝。弥生賞を勝ちながら、クラシックを目前に屈腱炎を発症し、引退に追い込まれた。
母のイスラコジーンはアメリカで走っていた現役時代の05年、シーザリオが制したアメリカンオークスに出走。9着になっていた馬だった。
気性はヤンチャだが柔らかいイスラボニータ
「入厩当初から気性的に少しヤンチャな部分がある馬だったけど、調教では柔らかくて凄く良い動きをしてくれました」
イスラボニータについて当時そう語ったのは栗田調教師だ。13年6月、2歳戦が始まってすぐにデビューさせると、東京競馬場の芝1600メートルという条件を後方から突き抜けて快勝してみせた。
「東京はタフなコースですからね。そこでしっかりと終いを伸ばして勝ってくれたから、やはり走る馬だと感じたものです」
この1戦で高い能力を感じ取ったのは蛯名騎手も同様だった。
「スタートは出なかったけど、終わってみれば突き抜けた。強かったですね」
2戦目の新潟2歳S(GIII)こそ掛かり気味になったこともありハープスターの2着に敗れたが、その後はレコード勝ちした東京スポーツ杯2歳S(GIII)など重賞2つを含む3連勝。前脚を投げ出すような独特のフォームで勢いに乗って1冠目にエントリーしてきた。当時、栗田調教師は言っていた。
「フォームが独特なのは筋肉や関節が他の馬よりも柔らかいのだと思います。デビューからスタートがうまくなかったり、折り合いを欠きそうになったりと色々教えなくてはいけない事があったけど、そこはベテランの蛯名君が心得たもの。1戦ごとに競馬が上手になっていきました」