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引退してやりたいことは? ガンバ大阪“コーチ”就任、40歳大黒将志の答えは「モスバーガーをいっぱい食べたいけど…」
text by
栗原正夫Masao Kurihara
photograph byYuki Suenaga
posted2021/02/01 17:17
1月22日、都内で引退会見を開いた大黒。22年間で12チームを渡り歩いた
「現役時代は、同じポジションの選手に積極的に教えたりすることはないですからね。僕の決めたゴールのほとんどはパサーのおかげなので、パスを出してくれた選手には感謝しています。とくにヤットさん(遠藤保仁)や二川(孝広)は何も言わなくても自分の欲しいところにパスをくれましたし……でも、J2に行ったりするとそこまでのパスは来ないので、こっちがどのタイミングで、どういうパスが欲しいかということをパサーに教えていました。するとしっかり話を聞いた選手のアシストがどんどん増えて、引き抜かれて僕のところからいなくなっていくという悲しい現象が何度も起きました(苦笑)」
たとえば、09年に東京Vで一緒だった柴崎晃誠、14年に京都でチームメイトだった工藤浩平、18年に栃木SCでともにプレーした岡崎建哉……柴崎はその後、J1の川崎→広島とステップアップし、工藤も大黒のJ2得点王獲得に貢献したことが評価されJ1の広島に引き抜かれ、岡崎も栃木SCから山形へと活躍の場を移すことになった。
「岡崎なんてパスが上手かったから、『オレの言う通り、パスを出せば決めるから』と言っていたらホンマにそうなって(笑)。だからこれからはFWの選手にも教えていきたい。繰り返しになりますが、しっかり考えていればいつ、どこで、誰とやってもプレーできるはずですし、僕もそうだったから代表に(最終予選直前に)呼ばれても点が取れたと思うんです。北朝鮮戦での初ゴールはデビューから30分もかかってないですからね。
いちばん不幸なのは、能力があるのにそれを活かせずに戦力外になってサッカーを辞めていくことです。FWに限ってそういう選手が多い気がしますし、実際に目にするのは歯痒かった。だから、僕がコーチをやる以上は、そういう選手を1人でも減らしたいんです」
「モスバーガーをいっぱい食べたい(笑)」
長い現役生活を終えた選手が、それまで我慢していたことを引退と同時に解放する、そうした話はよく耳にするが、大黒にとって何か思い当たることはあるだろうか。