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【箱根駅伝】“スター選手”相手に区間賞、法大1区・鎌田航生は何者なのか 「時計を見る必要がなかった」 

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加藤康博

加藤康博Yasuhiro Kato

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posted2021/01/30 11:04

【箱根駅伝】“スター選手”相手に区間賞、法大1区・鎌田航生は何者なのか 「時計を見る必要がなかった」<Number Web> photograph by JMPA

1区を走り区間賞を獲得した法大・鎌田航生。東海大の塩澤、順大の三浦、青学大の吉田らスター選手に負けない強みがある

頭抜けたタイムを持っていない理由

 もちろん絶対的な走力がそれを可能にしていることはいうまでもない。彼の10000mベスト28分33秒25は飛び抜けたものではないが、これはレースのほぼ半分を独力で引っ張ってのタイムであり、条件に恵まれればさらに上の数字を出せるだろう。ハーフ1時間2分3秒も10月の箱根予選会で出したものだが、チームの予選通過のため、あえて序盤にスローで入り、後半に上げていく確実性を求めた走りの結果。フィニッシュでもまだ余裕があり、タイムを狙いにいった攻めのレースではない。現時点の自己ベストだけでは彼の力は計れないのだ。

「ロードでの泥臭さが自分の持ち味だと思う」

 だが法政大は試合数を絞って出場する方針であり、今後も積極的にタイムを狙うつもりはない。

「もちろん自己ベストがよければ自信になりますので、タイムを持っているに越したことはありません。ただ高校時代からタイム以上に粘れる選手と言われていましたし、トラックでペースを管理されて走るよりも、ロードでのアップダウンを利用した走りのほうが得意なんです。速さよりも粘り強さとか、泥臭さが自分の持ち味だと思っています」

 5000m、10000mで記録が続出する昨今の大学長距離界において、ある種、独特の存在といっていい。

 まもなく大学での最終学年がスタートする。すでに坪田監督との間で「来年は2区に挑む」という話は進んでおり、そのための強化計画も立て始めた。

「彼は絶対的なスピードはあまりないですが、ハイペースで押していけるスピード持久力はあります。それを生かすためにはさらなるスタミナ強化が必要。今年はマラソン練習をするくらいのことに挑戦するつもりです」(坪田監督)

 大学入学後、大きな故障をしたことがない体の強さも鎌田の武器。練習の強度は今後増していくが、きっとそれも乗り越えていくだろう。その先にどんな強さを手にするだろうか。今から楽しみだ。

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