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センバツで見逃せない「5人のドラフト目玉候補」は? イチオシは“和歌山の怪腕”&東京の“独特サイドハンド”も
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph bySankei Shimbun
posted2021/01/30 11:05
センバツに出場が決まった東海大菅生高の本田峻也投手。ドラフト候補としても注目したい
(2)「西武ドラ1のような…」松川虎生捕手(市立和歌山)
市立和歌山は投手・小園健太のワンマンチームでは決してない。
小園投手がこれだけ渾身の腕の振りで快速球や鋭い動きの難しい変化球を投げ込めるのも、バッテリーを組む松川虎生捕手(178cm101kg・右投右打)という存在があればこそだろう。
101キロあっても、スッと立ち上がれる。ショートバウンドを止めにいく横の反応など、とても“101キロ”には見えない。本人にとっては、ちょうどいい重量感なのではないだろうか。
打っても守っても、身のこなしがリズミカルで柔らかい。左腕のクロスファイアーのキャッチングで上体が流れないし、110キロ程度のカーブでも「あり得ない」ような捕球音。これなら、気分よく投げられるはずだ。
フットワークで投げられるスローイングだから低い体勢から腰を割って投げられて、しっかり指にかかった送球が二塁ベースに糸を引く。
フットワークが良いから、バッティングも足を使ってスイングできる。投手のステップに合わせて踏み込んでいくタイミングが実にいい。「タイミング」は教えられない。持っているかどうかだ。
右方向に高く大きなファールが飛ぶのも、空振りを怖れず、ギリギリまで呼び込めているから。外野に飛んでいった打球が、そこからグングンさらに伸びていくのは、インパクトでバットヘッドが「これでもかっ!」と効いているから。今季西武1位入団の渡部健人(内野手・桐蔭横浜大)タイプの打者だ。
(3)「186cmの大型捕手」高木翔斗捕手(県立岐阜商)
「捕手」ならもう1人、県立岐阜商・高木翔斗(186cm87kg・右投右打)も逸材だ。
このサイズでボディバランスがすばらしい。高校2年秋の段階で、このサイズの高校捕手が、ホームベース一塁側のスライダーを捕球して、そこから矢のような二塁送球ができるなんて、そうそう見られるものじゃない。
フルスイングの空振りにも体勢が崩れず、内角、外角ふた通りのミートポイントとタイミングを持つバッティングにも「技術」を感じる。
大型化が進むプロ野球だが、「捕手」だけは170cm台の選手がレギュラーの大半を占める。そんな中、昨シーズン187cm90kgの大城卓三捕手(巨人)が台頭した。大城は左打ちだが、NTT西日本当時はちょうど高木のような感じだった。190cm近い雄大な体躯を「180cm」ほどにまとめてプレーできるスタイル。4、5年先、プロでレギュラーマスクをかぶっていそうな「大型捕手」だ。