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【引退】浮気、喫煙、退場、太りがち…だけどルーニーは天才だった クリロナや香川真司を輝かせた奥義とは
text by
粕谷秀樹Hideki Kasuya
photograph byGetty Images
posted2021/01/30 06:01
ダービーの監督に就任したルーニー。新たな才能を育てることはできるか
フットボールに純粋だったからなのか、常に勝利を求め、ひたすら闘っていたからなのか。ルーニーがボールに触れる度にサポーターのボルテージが上がった。デイビッド・ベッカム、ポール・スコールズ、ライアン・ギグスといった生え抜きのスターにはない泥臭い魅力を、多くのファンが支持していた。
ファンデルサール「GKでも超一流だったんじゃ」
ユナイテッドで同じ釜の飯を食い、現在アヤックスでCEOを務めるエドウィン・ファンデルサールが、ルーニーとのエピソードを語っていた。
「ワッザ(ルーニーの愛称)はフットボールの申し子だよ。どのポジションをやらせてもうまいからね。ある日の練習ではシュートを次々に止め、PKまで防いだ。GKをやっても超一流になっていたんじゃないかな」
ファンデルサールが証言したように、ルーニーはスーパーマルチだった。
トップでもシャドーストライカーでもウイングでも、ゲームプランに則って貢献できる。スコールズが衰え、アンデルソンの活躍が長く続かなかった2010年代の前半には、中盤のセンターまで務めたほどだ。
ロナウドも香川もルーニーの万能性に助けられた
また、彼の万能性に助けられた新加入選手も少なくない。右も左も分からず、なおかつユナイテッドならではのプレッシャーに苛まれた多くのスターを、ルーニーは救ってきた。ロビン・ファンペルシ、ディミタール・ベルバトフ、カルロス・テベスがスムーズにチームにフィットできたのは、彼らの特性をいち早く理解したルーニーのセンスがあったからだ。
「どのタイミングで、どこにボールが欲しいのか、ルーニーはすぐに理解してくれた。特別な選手のひとりだよ」
ベルバトフはいまでも感謝の言葉を惜しまない。
さらに、守備を疎かにしがちなクリスティアーノ・ロナウドが活躍できたのもルーニーがふたり分の仕事量をこなしていたからだ。2012-13シーズンのノリッジ戦で香川真司がハットトリックを記録した際も、十分すぎるほどお膳立てしている。
とはいえ、ルーニーの適性はやはりFWなのだ
とはいえ、ルーニーの適性はやはり前線である。