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148m息継ぎせず意識喪失も恐怖感ゼロ  フリーダイビング歴2年で世界ランク4位・歳永ゆきね41歳の“異能” 

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間淳

間淳Jun Aida

PROFILE

photograph byYukine Toshinaga

posted2021/02/01 11:01

148m息継ぎせず意識喪失も恐怖感ゼロ  フリーダイビング歴2年で世界ランク4位・歳永ゆきね41歳の“異能”<Number Web> photograph by Yukine Toshinaga

歳永ゆきねはアーティスティックスイミング経験者とはいえ、競技歴2年で世界大会を優勝した実力の持ち主だ

サッカーの小野伸二と高校で同級生

 歳永選手が生まれ育ったのはサッカーのまち、静岡県の旧清水市である。「キヨショウ」の愛称で親しまれた清水商業高校(現在の清水桜が丘高校)では、元日本代表の小野伸二と同級生だった。

 10歳でアーティスティックスイミングを始め、高校3年生の時に国体に出場している。フリーダイビングを始めたのは2018年5月。きっかけは水中写真だった。

「海に潜って好きなタコの写真を撮っていたが、もっと長く潜って海の生き物を美しく撮りたいと思った」

命の危険を感じたこともあった

 アーティスティックスイミングの経験があれば簡単に日本のトップ選手になれるほど、フリーダイビングは甘くない。何度も失敗し、命の危険を感じたこともあった。

 競技スタートから4カ月、プールの中でどれだけ長い時間潜っていられるかを競う種目に出場した。フリーダイビングデビュー戦。5分11秒の好タイムを出して、体に問題がないことを示すOKサイン。「タレントのローラにも負けないOKを出した」というが、失格になった。

 理由は「アイム」と言い忘れたこと。

 競技のルールでは、水から顔を出したときに「アイムOK」と言いながら、指でOKサインを出さなければ記録が認められないのだ。

「150メートルはいける」からブラックアウト

 しかし「不思議な運がある」と自負している歳永選手。初出場としては驚くべきタイムが評価されて、新人賞に輝いた。最初で最後の記念と思いながら出場したが「せっかく賞をもらったから続けようかな」と日本代表を目指す契機となった。

 日本代表選考の対象となった去年2月の大会では、ブラックアウトを経験した。息を吸わずに泳いだ距離を競う種目に出場。歳永選手は、150メートルの記録を出せば日本代表入りは確実と考えていた。50メートルプール2度目のターン。普段は苦しさを感じ始める100メートルでも、全く辛さがなかった。

「150メートルはいける」

 そう思っていた148メートル時点だった。気付いた時はプールサイドにいた。意識を失って救助されていた。

 原因は大会当日、激しい頭痛を抑えるために飲んだ鎮痛剤だった。

【次ページ】 その後も全く恐怖感がないという

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#歳永ゆきね

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