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梶谷隆幸の“2面性”が巨人を救う? 合理主義者が骨折しても試合に出たワケ【澤村拓一とトレード話の過去も】
posted2021/01/23 11:02
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph by
Sankei Shinbun
ジキルとハイドかもしれない。
びっくりした光景を目撃したのは、2017年にDeNAが日本シリーズに進出した、その第3戦のことだった。
ソフトバンクに連敗して本拠地・横浜スタジアムに戻ってきたこの試合も2対3と1点差で落として、崖っぷちに追い込まれた試合後だ。アレックス・ラミレス監督の会見終了後に会見場で関係者と話をしていると、やってきたのが梶谷隆幸外野手だった。
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左手には白い発泡スチロールの弁当箱。そこには白飯と山盛りの鶏唐揚げが乗せられている。そして試合前は選手食堂として使われる会見場の脇の冷蔵庫から梶谷が取り出したのは、マヨネーズが入ったディスペンサーだった。
唐揚げに向かってマヨネーズをこれでもかと放出
そこから白飯に乗った唐揚げに向かってマヨネーズをこれでもかと放出。その光景の一部始終を見ていた筆者と目が合うと「美味いっすよね」と一言語って、ロッカールームへと消えていった。
まだ梶谷が独身時代の話だ。
おそらくその弁当を持ち帰って、夜食として食べるのだろうと想像すると、いくら消費カロリーの高いスポーツ選手といえども禁断の姿を見たような気がしたのを覚えている。
梶谷といえばシェープされた肉体で体脂肪率は1桁の8%から9%をストイックに維持していることで知られる選手だ。それが対極のデブ食とも言える唐揚げマヨネーズを夜中に貪り食う。
それはまさにジキルとハイドである。
そして梶谷は野球でも根っからの合理主義と、その対極にある熱さの両極端を持つジキルとハイドのような選手でもある。