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“世界ラグビーのトップ” ボーデン・バレットは「神戸製鋼を変えた」ダン・カーターになれるか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAki Nagao
posted2021/02/19 17:00
今季からサントリーに入団したボーデン・バレット
03-04シーズンを最後にリーグ優勝から遠ざかっていた神戸製鋼に、元ニュージーランド代表のレジェンドは真のプロフェッショナリズムを植え付けた。ダン・カーターの存在について話す橋本は、声を弾ませたものだった。
「一日24時間、プロ意識が高いんです。そのプロ意識というものをどうやって行動へ移していくのか、みんなに教えてくれている。すごくいい影響を与えてくれています」
ダン・カーターとバレットの共通点
今シーズンのサントリーへ話を戻そう。
ミルトン・ヘイグ監督が就任2年目を迎え、19年W杯日本代表の中村亮土が新キャプテンとなったチームは、「アグレッシブ・アタッキング・ラグビー」で17-18シーズン以来の優勝を目ざす。松島幸太朗がフランスのクレルモンへ旅立ったものの、流や中村に加えてオーストラリア代表の重戦車サム・ケレビらが揃うチームは、高いクオリティを保っている。
バレットはスタンドオフを任されるようだ。ニュージーランド代表ではフルバックで起用されてきたが、プレシーズンのトレーニングマッチでは司令塔としてアタックを牽引した。「一番プレーしたいポジションは10番」と本人も話しており、世界最高水準のキック、ラン、パスのスキルをフル稼働していく。
その影響力はピッチ内にとどまらない。サントリーの土田雅人シニアディレクターは、「ゲームでのパフォーマンスだけでなく、練習での態度や日々の行動が素晴らしい、と各選手から聞いています」と語り、自身が観戦したトレーニングマッチの印象も言い添える。
「手を抜くところがなく、力を出してくれていた。彼のような選手が日々の活動を通して、サントリーだけでなくラグビー界に良い影響を与えてくれると期待しています」
正真正銘のスーパースターは、謙虚な紳士でもある。「プレシーズンのトレーニングマッチで、日本ラグビーのスキルレベルの高さに驚いた」と話し、「自分もまだまだレベルアップできる。(日本でのプレーを)いい経験にしたい」と意欲を口にした。