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“世界ラグビーのトップ” ボーデン・バレットは「神戸製鋼を変えた」ダン・カーターになれるか?
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byAki Nagao
posted2021/02/19 17:00
今季からサントリーに入団したボーデン・バレット
ラグビーに対するひたむきな姿勢は、ダン・カーターに重なるところがある。勝利した試合後にコメントを求められたダン・カーターは、「私ひとりではなく、チームメイトが頑張ったからだ」と謙遜した。マン・オブ・ザ・マッチに選ばれれば、「チームメイトの頑張りによって、私の役割がやりやすくなった。誰が選ばれてもおかしくなかった」と答えた。彼の心にはエゴイズムがなく、その言葉にはチームメイトへの敬意が込められていた。
バレットとサントリーの関係も、ダン・カーターと神戸製鋼のようなものになっていく気がする。中村キャプテンが「すべてにスキがない。文句のつけどころがない」と感嘆するように、ラグビーへの真摯な取り組みがチームメイトの信頼につながっている。信頼は刺激を呼び、刺激は向上心となって、チーム全体に好影響をもたらしていくだろう。
「ダン・カーター×神戸製鋼」のようになれるか?
今シーズンのトップリーグは延期に伴って大会方式が変更となり、16チームがふたつのカンファレンスに分かれてリーグ戦を戦うことになった。サントリーと神戸製鋼は、リーグ戦では対戦がない。プレーオフトーナメントのどこかで、顔を合わせることになる。対戦しないままで終わるとしたら、どちらかのチームが失意とともにシーズンに幕を降ろすということだ。
ダン・カーター加入後の神戸製鋼にリーグ戦、カップ戦で敗れてきたサントリーは、バレットとともに捲土重来を果たすのか。1シーズン限定とされている世界屈指のビッグネームのチャレンジは、リーグ全体を盛り上げていくはずだ。