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「高橋宏斗をうちで育てられるか?」高卒投手育成に中日のトラウマ ドラ1ブレイクのカギは“放置と外禁”? 

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小西斗真

小西斗真Toma Konishi

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photograph byKyodo News

posted2021/01/13 17:02

「高橋宏斗をうちで育てられるか?」高卒投手育成に中日のトラウマ ドラ1ブレイクのカギは“放置と外禁”?<Number Web> photograph by Kyodo News

新人合同練習に取り組む高橋宏斗(中央)。中日の柱となる“高卒投手”になれるのか、期待がかかる

未成熟な18歳を育てる“放置と外禁”とは

 放置とは指導者への戒めだ。高卒投手がなぜ育たないか。例えばストライクゾーンが違う。高校までは格下の同学年相手に、ワイドなゾーンで投げられた。ところがプロでは「ボール」と言われる。そこで四球を叱られると、いつしか強い球で打者を打ち取ることより、とにかくストライクを取ることが優先されるようになる。四球は容認、フォームも当面はいじらない。それが放置だ。

 外禁とはここでは外出というより外食の禁止。放置の逆に思えるが、これは周囲への戒めだ。日本ハムが大谷翔平や清宮幸太郎にそうしたように、寮を出ての会食を球団が制限、把握するのだ。休日の息抜きショッピングがダメだというのではない。中日のような老舗球団には、古くからのタニマチがいる。地域密着は悪いことではないが、あの人の誘いには応じて、この人は断るというわけにはいかない。地元のスター候補生ともなれば、先輩選手も後援者との会食に連れていこうとする。コロナ禍ではこうした席そのものが激減しているが、収束後はその反動で増えるだろう。全て断る。これは球団の方針だと言えば、角も立たない。大人扱いは愛情ではないということだ。

 18歳はアスリートとしても人間としても未成熟だ。過度な指導があれば消化しきれずパニックになるし、接待が続けば勘違いもする。根尾昂、石川昂弥と3年続いた地元の星。ごく近い将来「高橋がドラゴンズの高卒投手では2009年の朝倉以来、○年ぶりの規定投球回数に到達しました」というニュースが流れると信じたい。

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