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年度代表馬・アーモンドアイのスゴさはどこにあった? ハイレベルすぎる2020年度でも“圧勝”できたワケ
posted2021/01/10 06:00
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
1月6日、2020年度のJRA賞が発表され、アーモンドアイが年度代表馬に選出された。
2019年の有馬記念では9着と思わぬ大敗となったアーモンドアイ。ドバイターフと天皇賞・秋と、GIを2勝しながらもグランプリで敗れた事でJRA賞は何一つ手に出来ずに終わってしまった。
巻き返しを誓い、昨年の始動戦に選んだのはドバイターフ。連覇を狙い中東に乗り込んだが、ここで思わぬアクシデントに遭遇する。折からのコロナ禍により1週間を切った時点で突然、ドバイ国際レースの開催が中止(発表は1年後に延期)となってしまったのだ。
これによりドバイまで行きながら競馬には使えず帰国したアーモンドアイは、改めて日本で立て直す。その1戦に選ばれたのがヴィクトリアマイル(GI)だった。
芝GI8勝でルメールが流した喜びの涙
ここで彼女は驚きのパフォーマンスを披露した。結果的に無駄になったUAE往復など感じさせない走りで2着につけた差は実に4馬身。先行策から直線だけでアッという間に突き放し快勝。これが彼女にとって芝GI通算7勝目。ディープインパクトやシンボリルドルフらと並ぶJRAタイ記録となった。
有馬記念で負けた時には「年齢的な衰え」を説く専門家もいた。そんな雑音を封じる復活劇を演じたアーモンドアイだが、続く安田記念(GI)では1つ年下の新快足女王に敗北を喫した。スタートで後手を踏んだアーモンドアイは最後の直線で良く追い上げたもののゴールラインではその2馬身半前にグランアレグリアがいた。残念ながら2着に敗れたのだが、結果的に彼女にとってこれが昨年の唯一の敗戦となった。
一息入れ、秋初戦となった天皇賞・秋(GI)では天皇賞・春の覇者フィエールマンや、宝塚記念の優勝馬でのちに有馬記念も制するクロノジェネシスらを完封し、同レースの連覇を達成。同時にJRA新記録となる芝GI8勝目をマークした。これには冷静で知られる主戦のクリストフ・ルメール騎手が珍しく感情をあらわにした。人目もはばからず喜びの涙を流したのだ。
「GI新記録というのは自分で考えていた以上にプレッシャーになっていたようです。達成出来た事で、それに気付きました。自然と涙が出てきたのは、プレッシャーから解放された証だと思います」
勝利したGI全てでコンビを組んで来たルメール騎手はそう語った。