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年度代表馬・アーモンドアイのスゴさはどこにあった? ハイレベルすぎる2020年度でも“圧勝”できたワケ
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph bySatoshi Hiramatsu
posted2021/01/10 06:00
引退式でのアーモンドアイ。競馬ファンに多くの強烈なレースを見せてくれた名馬はこの後、繁殖生活に入る
ジャパンカップは3強対決ながら1頭が図抜けていた
続く一戦はアーモンドアイにとって現役最後のレース、ジャパンC(GI)となった。ラストランという事で、ルメール騎手は前走の天皇賞・秋同様のプレッシャーを感じているかと思いきや、全く違った。
「最後だから楽しんで乗ろうと思っていました。プレッシャーはありませんでした」
相手はこの年、無敗で牡牝の3冠レースを制していたコントレイルとデアリングタクト。アーモンドアイを含め3冠3頭による対決は“3強による史上最強の1戦”とも言われた。実際、人気は3頭に集中した。アーモンドアイが2.2倍で1番人気、コントレイルが2.8倍の2番人気でデアリングタクトは3.7倍の3番人気。4番人気のグローリーヴェイズの単勝オッズが17.2倍だからいかに3頭が抜けた下馬評だったかが分かる。
結果は上位3頭が人気通りの順番でゴールした。アーモンドアイが優勝し、コントレイルが2着、デアリングタクトが3着だったのだ。
しかし、内容的には3強での決着というより、アーモンドアイ1頭が抜けた存在というべきレースだった。先行策から早目に抜け出すとゆうゆうとゴールに飛び込んだ。コントレイルとデアリングタクトはまだ3歳であり、もっと成長が見込める今年は更なる活躍を期待したいが、このジャパンCの時点では残念ながら完成度でまだ差があったと言わざるをえないだろう。ルメール騎手の弁にも、同様の評価がうかがえた。
「アーモンドアイは経験値が違いました。彼女が力を出し切ってくれれば大丈夫だと思っていたので、僕も楽しんで乗る事が出来ました」
コントレイルやグランアレグリアにも票が入ったが
これで昨年のアーモンドアイはGIばかりに走り4戦3勝2着1回という成績を残した。こうした結果を受け、彼女が年度代表馬に選出されたのは実に妥当だったと思う。また、この女王にこそ敗れたものの、今後の競馬界を引っ張ってくれると思える3冠馬、コントレイルに票が入ったのも頷ける。更にはグランアレグリアにも2票入ったが、これもアーモンドアイをねじ伏せた事実を思えば決して奇をてらった投票ではないだろう。ただ、やはり同じGI3勝とはいえ、GIの中でも格の高い天皇賞とジャパンCを制したアーモンドアイに票が流れたのは仕方のないところではないだろうか。