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非情決断のビルバオは名門の品格を失ったのか 3週間前に信頼を公言&勝ったのに指揮官更迭
posted2021/01/12 06:00
text by
横井伸幸Nobuyuki Yokoi
photograph by
Getty Images
監督のクビは試合に負けて飛ぶもの。なのにアスレティック・ビルバオは、1月3日の第17節エルチェ戦に勝利したガイスカ・ガリターノを間もなく“お払い箱”にして、直後マルセリーノ・ガルシア・トラルの就任を発表した。
今季のアスレティックは確固たる強さと面白さを欠いている。ここまで勝っては負けての繰り返し(18試合を終えて6勝3分9敗の9位)だったので、監督の更迭自体はさほど不思議ではない。
だが、就任時からガリターノに目をかけてきたアスレティックのエリセギ会長は、つい3週間前にも彼に寄せる信頼を公言したばかりである。
クラブ内部で一体何があったのか。
地元紙によると、役員会は昨年10月の第7節オサスナ戦を0-1で落としたときから、ガリターノの解任を検討していたそうだ。そして、11月8日の第9節バジャドリー戦敗北(1-2)を受けて、スポーツディレクターのラファ・アルコルタは後任を探し始めた。
元バルサのバルベルデに声をかけたが“フラれた”
最初の候補はアルコルタ同様スペイン代表歴もあるOBで、現在はBチームを率いているヨセバ・エチェベリア。しかし、経験不足のせいか役員たちに拒否された。
次に、昨年バルセロナを出て以来浪人生活を送っているエルネスト・バルベルデに声をかけたが、これは固辞された。
そして、3人目のマルセリーノに良い返事をもらうことができたというわけだ。
しかし、11月23日の第10節ベティス戦に4-0で快勝したことにより、エリセギ会長は引き金から手を離す。
そんななかで迎えた12月27日のソシオ代表年次総会において、役員会は痛烈な一撃を食らってしまった。賛否を問うた2019-20シーズンの決算、今季の予算案、加えて目玉であるスタジアムのサポーター席改修案、そのすべてが否認されたのだ。