＜名言4＞
最近、うちの娘まで言うんで。「パパ、半端ないって」って。おもしろいですよ。
（大迫勇也／Number995号 2020年1月17日発売）

◇解説◇
　誰もが知るところだが、「半端ないって」は対戦相手の選手が試合後のロッカールームで口にした言葉である。しかしこの表現は今や、大迫勇也の代名詞となっている。

　2008年度の第87回高校選手権、鹿児島城西のエース大迫への注目度はここ十数年で最も高かったと言っても過言ではない。決勝では広島皆実に負けて準優勝に終わったものの、連係した守備ブロックと対峙しても先制ゴールを挙げるなど、この1大会のみで10ゴールをマーク。平山相太（国見）や石黒智久（富山第一）の9得点を上回る得点数を挙げ、この記録は今もなお破られていない。

　大迫は鹿児島出身の純朴な少年だった。少々シャイなタイプだったがゆえ、まるで日本代表戦後かのように詰めかける報道陣に対して、小さな声かつ短い言葉で語ることがほとんどだったという。

選手権で鮮烈な輝きを放った大迫(c)Naoya Sanuki

　しかしそれから10年後、大迫は当時の「選手権」の思い出について「プレーしてみてスタジアムの雰囲気は最高でした。高校生であれだけ人が入った中でサッカーすることはなかなかないですから」とも話している。

　当時からサッカーファンの間で話題となった「半端ないって」は、大迫のロシアW杯での活躍で再び流行語となった。「活躍すれば、これが出るなっていうのは思ってましたよ」と大迫自身も予測していたというが、自分が愛する家族の中でも定着したのは、少々驚きだったようだ。それでも「そう言われることは、プロの選手としては悪いことじゃないんでね」とも言う。

　選手権で放った輝きは、10年以上たった今も色あせることはない。