――井岡戦は日本に限らず、世界中のボクシングファンが楽しみにしている試合だと思います。そんなファンにどういったところを見て欲しいですか？

田中　俺を知ってほしいですね。俺の試合は絶対に面白いし、普通じゃない動きができる。普通じゃないスピードで戦える。純粋に俺のボクシングは楽しめるよって思うんで、世界中のボクシングファンに見てほしいです。　

――リング上の能力の中で最も自信があるのは？　そしてこの試合に向けた対策の中で、これまでと大きく変えてきた部分はありますか？

田中　自信があるのはやっぱりスピードです。そして、変えてきたのは集中力ですね。3分間のラウンドの中で、これまでは気を抜く場面がたくさんあったんで、無駄なパンチをもらうことがありました。打った後とか、打つ前とか、気を抜いているからこそ、相手のパンチが見えているのに、身体が準備できていなくて避けられなかったりしたんです。集中力を保つことで、パンチが見えていたらしっかり避けられるバランスにいることができます。その集中力の面を特に強化してきました。

「井岡さんと俺とでは目指しているところは全然違うのかな」

――無敗のまま強敵と対戦となりますが、初めて敗北を味わうかもしれない怖さも感じていますか？

田中　負けるとは思っていないんで、怖さは感じていないです。自信はあります。　

――陣営の方からは、「田中選手は井岡選手とは目指すところが違う」という話を聞きました。具体的にはどういったところが違いなのでしょう？

田中　井岡さんがエストラーダ、ロマゴンと戦うのをゴールにしているのなら、俺はそこをスタートにしているんです。今からアメリカでそういったチャンピオンたちと戦い、勝ち抜いていきたい。その先に何があるのか、ゴールはまだ見えていません。でもまだまだ先を見てやっているので、目の前をゴールにしている井岡さんと俺とでは目指しているところは全然違うのかなと。もちろん、井岡さんと俺とではキャリアも年齢も違いますから、そういった先輩たちがいて、俺たちも先が見えるようになったんだとは思っていますけどね。

#2　「最終目標はPFP1位」無敗の3階級王者・田中恒成が明かす、井上尚弥の“本当の凄さ”　に続く

写真＝Hatanaka Boxing Gym Andre