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直前インタビュー 15戦全勝の俊才・田中恒成が語る「(井岡とは)目指しているところが全然違う」
posted2020/12/30 11:07
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Hatanaka Boxing Gym Andre
“日本最高峰の対決”が間近に迫っている。4階級制覇王者で現WBO世界スーパーフライ級王者・井岡一翔(Ambition)と、3階級制覇王者・田中恒成(畑中ジム)のタイトル戦が大晦日に大田区総合体育館で開催されるのだ。
軽量級を代表する実力派同士の激突だけに、海外のファンからも注目される一戦となるはず。井岡は「格の違いを見せる」と述べているが、現在、欧米での評価は、実は無敗のまま3階級を制覇した田中の方がやや上。ここで先輩の井岡をも倒して存在をアピールすれば、田中は3月13日に挙行が決まったWBC同級王者フアン・フランシスコ・エストラーダ(メキシコ)対WBA同級スーパー王者ローマン・ゴンサレス(帝拳=ニカラグア)というビッグネーム対決の勝者との現実的な対戦候補にも浮上する。
12月25日、クリスマスの夜、大一番を間近に控えた田中にリモート取材で話を聞いた。
デビュー以来15戦全勝(9KO)の俊才は、世界的な意味でブレーク目前と言える存在。それでも日本国内では必ずしも人気ボクサーとは言い切れないという、少々不思議な立ち位置にいる選手でもある。
25歳の田中は、過小評価のフラストレーションをどうモチベーションに変えてきたのか。そして、新型コロナウイルスに揺れた波乱の1年の最後に、井岡という大きな壁を破ることができるのか。(全2回の1回目/#2に続く)
井岡一翔との対戦は「転機になる試合なのかな」
――井岡選手との大一番を目前に控え、今の状態はいかがでしょうか?
田中 この1年はコロナの影響があったんですけど、今回の試合前の練習はコロナがあったことで逆にチームが一丸となった感じがあります。一番いい練習、一番いい調整をしてこれたので、仕上がりもこれまでで一番です。
――今戦は自身のキャリアでも最も重要なファイトという位置づけでしょうか?
田中 そうですね。一番大切というか、転機になる試合なのかなと思います。
――井岡選手との対戦を望んだ理由を改めて話していただけますか?
田中 階級が近いというのもあって、ずっと前から井岡さんと井上尚弥さん(大橋)は尊敬しているというか、カッコいいな、というふうに思っていました。井岡さんは日本国内でも目立つ選手ですが、ただ、実際に戦ったら勝つ自信もありました。井岡さんが今いるあのポジションに行きたかったというのも(対戦希望の理由に)あります。
――井岡選手のボクサーとしての印象というと、「崩しにくい」「教科書のようなボクシング」という話をされていましたね。その一方で、「KOしたい」というKO宣言もされています。