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“令和初の横綱”への挑戦…24歳、大関貴景勝が語る本音「『勝因は?』ってよく聞かれるんですけど…」 

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飯塚さき

飯塚さきSaki Iizuka

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photograph byJiji Press

posted2020/12/29 11:03

“令和初の横綱”への挑戦…24歳、大関貴景勝が語る本音「『勝因は?』ってよく聞かれるんですけど…」<Number Web> photograph by Jiji Press

大相撲11月場所の優勝から一夜明け、会見で喜びを語った大関貴景勝

貴景勝 技術面は、体がとっさに反応してくれるくらい染み込ませないと本場所でできないので、いままでやってきたことがよかったなという感じです。それよりも、「勝ちたい」じゃなくて、無心になって臨めたのがよかった。何も考えず、ただ「自分の相撲を取り切って、負けたらもういいや!」と。弱いから負けるんであって、そしたらまた来場所頑張ればいい話だと思ったんです。余計なことを考えて自分の相撲が取れなかったら、もったいないじゃないですか。だから、ただ無心で必死に行こうって思えたのが、よかったのかもしれません。実際に、何がどうよかったか、本当のところはわからないけれど、自分のなかではそういう気持ちでいます。

――勝利の本当の要因や因果関係を探るのは、難しいことですね。

貴景勝 「勝因は?」とよく聞かれるんですが、それはあくまで結果論です。相撲は対人競技なので、自分にいいところがなくても、相手がもっと悪かったら勝つ可能性は広がるんですよね。だから、今回の決定戦はそういう心境で戦ったというのは、事実としてはありますが、あのときはあの精神状態だったからよかったんだ、次もそうすれば勝てるんだなとは、僕は考えません。それが間違っていた場合に、今後に影響が出てきてしまうからです。どうしても、白か黒か、結果を見て後付けで調子を考えてしまうことがあるので、それはよくないなと思っています。

「苦手を長所で押さえつけるんです」

――まさに、おっしゃる通りだと思います。結果は大事ですが、それだけではないということですね。

貴景勝 勝ったときも負けたときも、振り返ることは大切だと思うんですが、何事も断定せずに、また焦らずに、15日間取り続けることが成長につながります。勝ったら負けたらとあまり考えずに、一日一日、自分を一生懸命磨いていくことが大事なのかなと思います。

――今回の場所で、逆に見えた課題はありますか。

貴景勝 もっと押しを強くすることです。これをすれば絶対に負けないっていうくらい、とにかく長所を伸ばしたい。いまから変にまわしを取る相撲を覚えていっても、突き抜けることはできません。突き抜けるためには、自分のもっているものをもっと磨いていくしかないと思っています。苦手を長所で押さえつけるんです。

――客観的に見て、大関の突き押しはもう十分完成しているように見えるのですが。

貴景勝 完成していないし、してると思ったらそれで終わってしまうので、引退するまで、どんな成績を残しても満足しないと思います。結果は大事だけど、辞めるそのときまで強くなりたいと思って、一生懸命やり続けることのほうが、もっともっと大切だと思っています。

(【続き】新婚ほやほや 大関貴景勝24歳に聞く「奥さんの料理で好きなものは?」「普段、家では何をしている?」 へ)

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