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業師・宇良の包帯姿で考えた休場の意味と「公傷制度」の復活 力士会から要望はあったが…

posted2020/11/30 06:00

 
業師・宇良の包帯姿で考えた休場の意味と「公傷制度」の復活 力士会から要望はあったが…<Number Web> photograph by KYODO

11月場所5日目、宇良は居反りで旭秀鵬を破った。居反りは十両以上では智ノ花が決めて以来約27年ぶりの珍手

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佐藤祥子

佐藤祥子Shoko Sato

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 1年納めの十一月場所。国技館の客席に「宇良関お帰り」との応援ボードを持つ年配客の姿があった。約3年ぶりに十両に復帰した宇良は、暖かい拍手を送られていた。

 宇良は2017年九月場所で右膝を大ケガ。昨年初場所で再び同箇所を痛め、序二段まで番付を落としての復活だ。小兵の業師として人気を呼んでいた28歳は、膝に分厚く巻かれた包帯姿で、「十両で生き残りたいという気持ちと、ケガなく15日間取り切るようにという気持ちで臨んでいます」と気合いを込めた。ちなみに同部屋の元小結・常幸龍も10場所ぶりの再十両として、今場所、悲願の復帰を果たしている。

 くわえて幕内の土俵では、千代の国が蘇ってきた。新入幕は'12年の一月場所ながら、肩や肘、膝など度重なるケガに泣かされてきた。今場所も肩に痛々しいほどのテーピングを施しての出場。不屈の千代の国は、今回でなんと6回目の入幕となり、〈幕内力士が幕下以下に番付を落として幕内に復帰〉を2度も経験することに。けれん味のない、キップのいい突き押し相撲が身上の苦労人は、場所前のネット放送のインタビューで「ケガばかりしてご心配を掛けてます」と笑みをたたえていたものだった。

条件付きで、「公傷制度」を復活させても?

 文字通りの“裸一貫”。激しいコンタクトスポーツでもある相撲は常にケガが隣り合わせだ。以前は本場所中の取組でのケガによる休場に、「公傷制度」が適用されれば、翌場所の番付が据え置きされていたが、この制度を利用した休場力士が続出することになり、'03年十一月場所を最後に廃止されてしまった。この公傷制度復活は定期的に話題に上り、'19年の暮れには、力士会から協会に要望があったものの、今のところ協会側に新たな動きはない。

 番付を落とさないためにとケガが治りきらないまま出場し、さらに悪化させてしまう例も散見され、栃ノ心と貴景勝に至っては大関昇進直後に負傷し、のちに陥落(貴景勝は大関復帰)してしまう憂き目にもあった。関係者の間でも「『全治3カ月以上のケガ』『協会指定病院の診断書提出』などの条件付きで、制度を復活させてもいいのでは」との声が上がっている。

 今後、充分に議論し、一考を願いたい制度である。

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