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「僕ってこういう性格だったんだ」ウエンツ瑛士は、なぜイギリスで“本当の自分”を見つけられたのか
text by
寺野典子Noriko Terano
photograph byShigeki Yamamoto
posted2020/12/22 11:03
俳優でタレントのウエンツ瑛士さん
ウエンツ というより、イギリスで見つけた自分がホンモノで、これまではまさに“仮面”をかぶっていたんだなという意識が、少しはあります。
これまで番組でなにかお題が出て、他の回答者が全員「Aです」と答えたら、僕は反射的に「Bです」と答えていたんです。そこでは僕の意見はあまり必要とされていなくて、そうしないと番組が成立しないので。そういう意味で、これまで皆さんの前にいたのは“芸能人という仮面をつけたウエンツ瑛士”なのかなと。
仕事がなくなる怖さは「もうないです」
――帰国されて、“本当のウエンツ瑛士”と“仮面をつけたウエンツ瑛士”の距離感は変わりました?
ウエンツ 以前なら完全に「別モノ」という感覚だったんですが、今はその2つをうまく融合できている気がします。簡単にいうと、嫌なものを嫌だと言えるようになりましたね。以前なら100パーセント言わなかったから(笑)。
――留学前は「とにかく期待に応えたい」という気持ちを強く持っていましたよね。
ウエンツ お仕事を頂くという意味では、期待や要求に応えることは今でももちろん重要です。でも、自分のことを傷つけてまで、応えることはもう止めました。留学して、それが「できるようになった」という言い方が正しいですね。
――そもそも“期待に応えたい”という思いは「仕事がなくなる怖さがある」からとも、お話しされていました。
ウエンツ 今はもうないです。昔は、仕事90パーセント、友だち10パーセントでしたが、怖さがなくなってからは、仕事が10パーセントなら、友だちも10パーセント、家族も10パーセント。いい意味でがむしゃらじゃなくなって、すべてが対等に考えられるようになりました。
今35歳で、30年後のことも考えるけれど、同時に「来年、芸能界にいないかもしれないな」と普通に思えるんです。でももちろん夢は消えてないです。
――イギリスの舞台に立つことですね。
ウエンツ 今も、夢を追いかけたいという気持ちも強くあります。でも、自分の心がもっと自由に動くことも許してあげたい。あまり自分の中で、決めつけないでいいんじゃないかなと思っています。想定とは違う道を辿って、夢にたどり着くこともあるだろうから。
――「ロンドンで舞台に立つ」ために、何が必要になるでしょうか。