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エディー・ジョーンズ「そんな事になる気が」ラグビーW杯で日本と“再会” 名将は何を考えている?
posted2020/12/18 17:01
text by
竹鼻智Satoshi Takehana
photograph by
Getty Images
2023年ラグビーW杯フランス大会の抽選会を、実は東京のホテルで観ていたという稀代の名将エディ・ジョーンズ。検疫期間中だったため、部屋にこもってその様子を見守っていた。
日本代表と同じプールDになったことを知った翌日には、こんな言葉で感想を残している。
「そんな事になる気がしていましたよ」
欧州2冠を達成したイングランド
誰にとっても大変な2020年だったが、ジョーンズHC率いる今季のイングランド代表の戦績は8勝1敗。中断を挟んで10月に完結したシックスネーションズ、11〜12月に行われたオータムネーションズカップでともに優勝を飾り、欧州2冠を達成している。
そんな年の締めくくりにくじ引きの結果を知ったジョーンズHCだが、「3年後のことなど誰にもわかりませんよ」とリラックスした姿勢を見せた。時に熱い闘将気質を見せながらも、冷静にゲームを分析する目を持つ名将は、この抽選結果と23年フランスまでの道のりをどう見つめているのだろうか。
「3年先の大勝負はまだまだ先の長い話」
ジョーンズHCはその鋭い洞察眼と論理的な考察でワールドラグビーへルール改正の提言を行ってきた。飽くなき探究心で、レフリングの「地域別トレンド」やその結果起こる「戦術のトレンド」など、「ラグビーというゲームの原理」を追求し続けている。
現在、ストレングス・アンド・コンディショニングをはじめとした科学的なコーチング、トレーニング手法は進化を続けており、それによって選手たちの身体能力やスキルレベルは向上の一途を辿っている。これはラグビーに限らず、どんなスポーツでもより効率的なトレーニング手法は常に生み出されており、前世代よりも優秀なアスリートが次々と出現している。
常に学び続ける姿勢を自身の哲学とするジョーンズHCはこう指摘する。
「現在のスポーツ科学は、まだまだ発展途上の段階にあります」
たとえば、最新のトレーニング理論で鍛えられている今日の10代選手は、10年後には現在のトップ選手よりも優秀なアスリートに育っているはずだ。これに戦術トレーニングの進化、さらにはルール改正を受けて新たに生み出される戦術とその対策となる新戦術の登場など、23年を迎える頃にはトップレベルのラグビー界も大きな進化を遂げているだろう。だからジョーンズHCは「3年先の大勝負はまだまだ先の長い話」と照準をしっかりとフランス大会に見定めているのだ。