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仕方なく出したアジアエクスプレスで2013年朝日杯FSを制した手塚師 今年はドゥラモンドで挑む
posted2020/12/19 11:01
text by
平松さとしSatoshi Hiramatsu
photograph by
Satoshi Hiramatsu
先週は白毛馬ソダシ(牝2歳、栗東・須貝尚介厩舎)の優勝で幕を閉じた阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)。今週は同じ2歳でも牡馬を中心とした朝日杯フューチュリティS(GI)が行われる。
舞台は同じ阪神競馬場の芝1600メートル。しかし、以前はこのレース、中山競馬場の芝1600メートルで行われていた。中山で行われた最後は2013年。この年、1番人気に推されたのは川田将雅騎手騎乗のアトム(栗東・池江泰寿厩舎)。新馬戦を勝利した後、デイリー杯2歳S(GII)がレコード決着のクビ差2着。3戦目がこの朝日杯フューチュリティSだった。しかし、中団からレースを進めた同馬は、直線に向いてからの伸びが今一つ。先行勢を捉える事なく5着に終わり、人気を裏切ってしまった。
一方、ゴール前で完全に抜け出したのはR・ムーア騎手騎乗のアジアエクスプレス(美浦・手塚貴久厩舎)。道中はアトムを見る位置で進め、最終コーナーでは一足先に外へ持ち出すと直線はグイグイと伸びた。最後は2着のショウナンアチーヴに1と4分の1馬身の差をつけて優勝した。
残り物がアジアエクスプレスだった
アジアエクスプレスは父Henny Hughes、母Running Bobcats、母の父Running Stagという血統の外国産馬。オーナーは馬場幸夫氏。手塚厩舎には以前、新潟ジャンプS(J・GIII)を勝ったクリーバレンという馬がいた。同馬の馬主名義は吉田勝已氏になっていたが、共同で所有していたのがこの馬場氏だった。クリーバレンが縁となり付き合いの始まった馬場氏とのエピソードを手塚調教師が語る。
「ある日『外国産馬がいるのでやってみませんか?』と言われました。外国産馬は2頭いたのですが、先に1頭が先輩調教師の下へ行く事が決まり、残った方を私がやらせていただく事になりました」
いわゆる残り物がアジアエクスプレスだった。
「体つきが良いし、調教も動いた。最初からやれる器だと思いました」
そんな手塚調教師の評価は的を射ていた。13年11月3日、東京競馬場のダート1400メートルでデビューすると、単勝1.6倍の圧倒的1番人気の支持に応え、2着に5馬身の差をつけて優勝。
続く1戦は中2週で臨んだオキザリス賞(東京競馬場、ダート1600メートル)。ここも1番人気に推されると、デビュー戦以上のパフォーマンスを披露。今度は2着を7馬身も突き放し、連勝してみせた。