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マラドーナVS日本代表 原博実が語る“幼稚園児扱い”「『おいでおいで』って来させてキュッと逆を…」
text by
いとうやまねYamane Ito
photograph byJIJI PRESS
posted2020/12/20 17:03
1988年8月12日、ゼロックス・スーパーサッカー日本代表vsナポリでフリーキックを蹴るマラドーナ(国立競技場)
スライディングも、ものの見事に無残にかわされて
僕もベッケンバウアーだのクライフだの、結構いろんなスター選手と対戦しています。でもインパクトはダントツでマラドーナですね。
僕らが幼稚園児相手に遊んであげるとき、わざと「おいでおいで」って来させてキュッと逆を取ったりするじゃないですか。まさにそれを自分たちがやられてしまうんですから。まるで大人と子供。
前田秀樹さん(古河電工)とか、田中孝司さん(日本鋼管)、金田喜稔さん(日産)と、日本の中では身体能力があって切れもいいとされていた選手たちが、幼稚園児みたいに扱われるから驚きましたよね。
スライディングも、ものの見事に、無残にかわされて。常に想像している逆を行くお手本みたいな、そんな感じでした。リズムがまるで違うんですよ。急激に止まれるし、急激にターンもできる。
ボールにすら触れないんです
――ドリブラーのイメージがあったのですが、パサーとしても群を抜いていますよね。
パスのセンスは凄いですよ。ひとつ超えたところ、えっ! そこに出す? みたいな。自分だけドリブルっていうのではなくて、味方が良ければパスをすごく綺麗に出せる。
体のバランスが恐ろしく良くて、ちっちゃいからこっちもファウル気味でぶつかるのだけど、弾力っていうか、逆に弾き飛ばされるんですよ、ゴムまりみたいで。
走っているときも、ドリブルしているときも、弾んでいました。
僕もFWなんだけど、ボールも来ないし、誰かが対応している時に後ろから行って突ついてやろうかとか思って。本当はそこまで帰らないだろうっていうくらいに守備に行ってみたんですけど、全く効果がなかった。ボールにすら触れないんです。