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引退・五郎丸歩、“南アフリカ撃破”につながる19歳時の自分への厳しい評価とは【名言】
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byTamon Matsuzono/Getty Images
posted2020/12/10 06:00
早稲田大学時代からスター性にあふれていた五郎丸歩。2015年ラグビーW杯での大活躍は今もなお鮮明だ
<名言3>
(19歳で代表デビューして)早すぎるぞ、という人もいたけど、代表を経験したことで自分の意識は変わりました。どんないいプレーをしても満足できないんです。
(五郎丸歩/Number695号 2008年1月10日発売)
◇解説◇
五郎丸歩という名前は、熱心なラグビーファンには彼が10代の頃から知られた存在だった。佐賀工業時代から大型フルバックとして注目を集めて3年連続で花園に出場し、世代別代表にも選ばれる有望株だった。
その後は早稲田大学に進学すると、当時の清宮監督が1年生ながら先発のフルバックに抜擢。185cmの長身、そして18歳にしてすでに100kg近い大柄な体格は、ラグビーの聖地である秩父宮ラグビー場の観客席から見ても、すでに風格を感じさせるものだった。
その実力はジャパンも放っておかなかった。大学2年生になったばかりの2005年4月のウルグアイ戦で桜のジャージを着て、19歳1カ月にして日本代表デビューを飾ると、続くルーマニア戦、カナダ戦、アイルランド戦にも出場したのだ。
この招集によって五郎丸自身は確実に変わった。「試合や練習で自分のプレーが上手くいっても『世界が相手だったら、こんなに簡単にはいかないぞ』と考えてしまう」と世界水準でのプレーを意識するようになったのだ。
五郎丸はその後、早大ラグビー蹴球部では最上級生として畠山健介らとともに大学日本一を経験し、国立競技場で「荒ぶる」を熱唱した。トップリーグ、そしてW杯での活躍は前述の通りだ。
W杯後、五郎丸はフランスのトゥーロンへと海外移籍するなど、30代を迎えても挑戦の精神を貫いた。現役として最後のプレーとなる2021シーズンも、キャリアで貫いた積極果敢なプレーぶりを見せてくれるはずだ。
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