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『鬼滅の刃』をスポーツ科学的に読む! “全集中の呼吸”の効能、イチロー&五郎丸歩の“アレ”と同じ場面は…
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byKyodo News
posted2020/12/08 17:02
話題沸騰の『鬼滅の刃』最終巻。スポーツ科学視点で見ても、メチャクチャ面白いのだ!
「フロー状態というのは、パフォーマンスの強度とテンションの高低のバランスが一致したときに陥る、夢中になっている状態のことです」
フロー状態には以下のような特徴がある。
(1)自分の技能と課題が合致する
(2)対象をコントロールできている感触がある
(3)結果が手に取るようにわかる
(4)外乱刺激がシャットアウトされている
(5)時空間的な歪み感覚がある
(6)動作が無意識に行えるといった特徴がある
「ボールが止まって見えた」もその1つ
現実のスポーツ界でも、多くの一流アスリートがこのフロー状態を経験している。ひいきの競技に関わるアスリートが「ボールが止まって見えた」「ゴールが大きく見えた」「相手が次に何をするかがわかった」というような証言をしているのを読んだことがある人もいるだろう。
『鬼滅の刃』では他にも、炭治郎の『隙の糸』、鋼鐵塚蛍(はがねづか・ほたる)が敵の攻撃を受けても微動だにせず刀を研ぐシーン、「痣が出た時、体がすごく軽かった」という甘露寺蜜璃(かんろじ・みつり)の証言などに、フロー状態の描写が見られる。