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【トライアウト】新庄剛志「お尻を見て」 、宮台康平「“東大の怖さ”を」、ドラ1由規…生き残りに挑んだ男の“かつての決意”
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NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph byKyodo News
posted2020/12/07 17:25
トライアウトに挑んだ新庄剛志。第4打席でタイムリーヒットを放った
<名言2>
接戦になれば“東大の怖さ”を感じてもらえるのでは。
(宮台康平/Number901号 2016年4月27日発売)
◇解説◇
東大卒。
世間一般でもその3文字だけで注目されがちだが、プロ野球の世界となればなおのことだ。
東京六大学野球の中でスポーツ推薦がなく“1弱”扱いされてしまう東大において、宮台は異質のエースだった。「腕を折り畳んで投げるので、打者からは見えにくいはずです。相手が“差し込まれる”ようなストレートを投げるよう心がけています」というピッチングスタイルで、通算6勝を挙げた。そのマウンド度胸が認められ、2017年のドラフト会議で日本ハムから7巡目指名を受けたのだ。
ルーキーイヤーの2018年、プロ初先発の対戦相手はソフトバンクだった。強力打線相手に5回途中2失点のピッチングは大健闘と言えるものだったが、その後股関節の故障が判明し、日本ハムではこれが唯一の一軍登板となった。
戦力外通告を受け、トライアウト受験を決めた宮台は、東京六大学野球の“聖地”である神宮球場のマウンドに、午後の部2人目の投手として立った。1人目、堀内汰門(元ソフトバンク)相手にはストレートでカウントを整え、最後は決め球のチェンジアップで空振り三振を取った。
これで勢いに乗った続く2人目、小山翔平(元巨人)にはアウトコース144kmのストレートで見逃し三振、3人目の中村和希(元楽天)にはスライダーで空振り三振と3人を完ぺきに抑えた。フラッシュインタビューでも「僕の武器は真っ直ぐだと思うので、それで押せたのはアピールになったと思います」と語る通り、この日最も光った1人と言えるだろう。
宮台が東大に入った理由は、国家公務員を目指し、勉学に励むためだったという。そんな彼がトライアウトを経て、どのような進路の決断を下すのか――。