スポーツ名言セレクションBACK NUMBER
【トライアウト】新庄剛志「お尻を見て」 、宮台康平「“東大の怖さ”を」、ドラ1由規…生き残りに挑んだ男の“かつての決意”
posted2020/12/07 17:25
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Kyodo News
<名言1>
どこまで野球を続けられるかわからないけど、投げられるうちはしがみついていきたいですね。
(由規/NumberWeb 2019年11月16日配信)
◇解説◇
2019年、由規は“1つの別れ”を経験していた。仙台育英時代の1学年下で、巨人を経てともに楽天でプレーすることとなった橋本到。同校の後輩で当時高卒2年目の西巻賢二が戦力外通告を受けたことについて、由規はこう冷静に言葉を選んだ。
「やっぱり……寂しい。特に、到は高校のひとつ下だし、同じタイミングで楽天に来て、地元仙台で、一軍で一緒にプレーしたい気持ちが強かったので。西巻とは年が離れているけど、高校の後輩だし気にはしていて。『まさか2年で』って本人も思っていると思うんですよ。
でも、ここで終わりじゃないんです。ふたりが次にどこでプレーするかわからないけど、新しいところに行ってから見えるものって必ずあるから。自分がそうだったんで。だから、やれることをやって、やれるところまで野球を続けてほしいですね」
由規は中田翔、唐川侑己とともに「高校BIG3」としてドラフト1位でヤクルトに指名され、大きく注目された。入団3年目の2010年には自己最速161kmをたたき出し、初の2ケタ勝利もマーク。エースの座に駆け上るかと思われた。
しかし2012年に訴えた肩の故障が長引く。育成選手となったのち、支配下復帰したものの2018年限りでヤクルトから戦力外通告される。その翌年、故郷である仙台を本拠の楽天に育成契約で入団した。7月に支配下登録を勝ち取り、9月には一軍のマウンドに立った。
だが、プロの世界は厳しい。迎えた2020年は一軍登板を果たせず、再びの戦力外通告。そこで由規はトライアウトを受験する決断を固めたのだ。舞台は古巣ヤクルトの本拠地である、神宮球場だった。1人目、同じ元楽天のフェルナンドに148kmのストレートをライトポール際に持っていかれると、動揺があったのか2人目の田城飛翔(元ソフトバンク)には死球を与えてしまう。崩れてしまってもおかしくない中で、3人目の大本将吾(元ソフトバンク)を見逃し三振に取って意地を見せた。