技術的な経験値がはっきりと出た

　最後のローテーショナルリフトは、肉体改造の効果もバッチリで、レベル4。演技後、感慨深げに2人は抱き合った。リズムダンスは64.15点で、得点をみた村元が高橋に対して「いいよ、いいよ」と語りかけ、高橋も納得した様子でうなずいた。

　細かい得点を見返すと、フィンステップはレベル1。続くパターンダンスは、村元がレベル3、高橋がレベル1となり、技術的な経験値がはっきりと出た。村元は落ち着いた様子で、こう話した。

「初めての試合でどのような評価がされるか全く分かりませんでした。どこのレベルを取りこぼしたかが分かり、改善するところが分かりました。デビュー戦としては満足いく演技で、最初から最後まですごく楽しく滑れました」

「ツイズル」に不安を抱えたまま……

　高橋も「初めてということを考えると上出来だったんじゃないかな。緊張が高まってメンタルが上手くいっていない時に、哉中ちゃんから引っ張ってもらえるのはアイスダンスの良さかなと感じました」とホッとした笑顔を見せた。

　リズムダンスを3組中2位で折り返し、手応えを感じた2人。翌日のフリーダンスは曲調が一転し、優雅なバレエ曲『ラ・バヤデール』だ。

(C)Yukihito Taguchi

　早い時期にプログラムを作り練習してきただけあって、1つ1つのエレメンツをていねいにこなしていく。高橋が村元を片足で支えるストレートラインリフトでは、レベル3を獲得。ローテーショナルリフトはレベル4と、流れもあり高評価。ステーショナルリフトも複雑な持ち替えを成功してレベル3と、次々と高いレベルを獲得していく。

　ところが6番目の要素の「ツイズル」に、高橋は不安を抱えたまま滑っていた。ツイズルとはクルクルと回りながら滑る技で、アイスダンスのなかではもっとも本番でミスが目立ちやすい技でもある。フリーレッグを上げる角度、回転速度、流れ、2人の距離など細かい部分までチェックされるため、精密なエッジコントロールが必要になるのだ。高橋はシングル選手としてはツイズルが上手なほうだが、自分のスピードで勢いよく行うのとは勝手が違った。

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