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坂本花織がNHK杯圧勝 振付師ブノワ・リショー独占取材「4回転へのステップの1つにすぎない」
posted2020/12/01 17:01
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph by
Koki Nagahama -ISU/ Getty Images
11月27日から大阪で開催された今季GPシリーズ最終戦、NHK杯。女子は坂本花織がSP、フリーとトップを保ち、2位の樋口新葉に29ポイント近くの点差をつけて独走優勝を果たした。
試合後、坂本の振付師であるブノワ・リショー氏が本誌独占でリモート取材に応えてくれた。
「カオリと私は、長い間一緒に作業をしてきたので、一般的な生徒と振付師よりも生産性の高い関係を保っているのです」
そう語るリショー氏が坂本のプログラムを初めて振り付けたのは、2017/2018年シーズンだった。
もともとフリー『アメリ』だけの予定だったが、他の振付師に作ってもらったSPがしっくりこなかったため、新SPも依頼した。そうして出来上がったのが、『月光ソナタ』である。シニアに上がったばかりだった17歳の坂本を、平昌オリンピック出場へと導く鍵となったプログラムだった。
SPは「80点近くまで上げられる」とリショー氏
NHK杯で坂本は、SP『バッハ・ア・ラ・ジャズ』で高い2アクセルから演技を開始した。3ルッツ、そして音楽のテンポが速くなった後半で勢い良く3フリップ+3トウループを跳んだ。これまでSPのソロジャンプは3ループを跳んできたが、ルッツを入れたのは5年ぶりのことだという。過去2シーズンで最も高い、75.60でトップに立った。
10月の西日本選手権の後、ジャンプの構成を変えた理由を「ブノワ先生から、ラインが来て。2週間くらい前です」と告白した坂本。
このプロセスについて、リショーはこう補足する。