そして次のステップへ

　リショー氏は、すでに次の段階を見据えている。

(C)Koki Nagahama -ISU／ Getty Images

「ここでの勝利は、精神的に彼女にとってとても大切なもので、この先に向けて自信がついたでしょう。もっともこれは、これから安定した3アクセルと4回転へと進んでいくための、ステップの1つに過ぎません。でも自国の大会で2つのプログラムをノーミスで見せることができたのは、とても重要なステップだったと思います」

　次の試合は、12月の全日本選手権だ。そこで坂本は、安定した3アクセルを跳ぶ紀平梨花と顔を合わせることになる。またこの大会で2位となった樋口新葉は、SP、フリーとも3アクセルに挑戦。フリーでは4分の1回転不足と判定されたが、片足で降りた。

　現在まだ開催に関しては未定となっている今季のGPファイナルと世界選手権だが、いずれはやはり3アクセルや4回転を跳ぶロシアの女子ともあたることになる。

「カオリは非常に賢明で、真面目なアスリート。このパンデミックは、オンラインでも良い作業が可能なことを教えてくれました。すべてのスケーターと振付師が、この状況の変化に順応できたわけではない。でもカオリの順応の仕方は、素晴らしかった。それがこの試合での結果につながったのだと思います」

　まだまだ伸びしろがあるとリショー氏が太鼓判を押す、坂本花織。今シーズンが、大ブレークの年になるだろうか。