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原巨人「完敗、完敗、完敗…」不完全燃焼感だけの日本シリーズ…監督・原辰徳に残された“最後の宿題”
posted2020/11/26 18:30
text by
中溝康隆Yasutaka Nakamizo
photograph by
Hideki Sugiyama
「4年連続日本一は目標じゃないな。もう義務だよ」
これは『週刊ポスト』89年1月6日号に掲載された、黄金時代の西武ライオンズのチームリーダー石毛宏典の言葉だ。それに対して、「さすが優等生。これだから、年俸一億円を2割8分の打率でもらえるわけだ(笑)」なんて茶化したのが、若かりし日の工藤公康である。元号が昭和から平成に変わる直前、3年連続日本一レオ軍団の正月座談会で先輩に突っ込む恐れ知らずのやんちゃな“新人類”。時は流れ、その工藤は57歳になり、令和の時代にソフトバンク監督として4年連続日本一を達成することになる。
2020年11月25日水曜日、福岡PayPayドームで日本シリーズ第4戦が行われた。個人的に昨年のシリーズ以来、1年ぶりの九州だ。ただ、新型コロナウイルスの影響で今年のシリーズは約1カ月遅い11月下旬開催、ニューエラの坂本2000安打記念パーカー姿だと少し冷える。GoToトラベルクーポン適用でホテル代は通常の35%安くなり、相変わらず博多の街は日本シリーズ慣れしていて普通の雰囲気だったが、公園ではお散歩中の保育園児たちが「あつお~!」と絶叫。その数時間後に、俺は球場のスタンドで「はたけ~!」と絶望することになる。
USBの充電コンセントすらあるよっ!
3連敗の巨人が負けたら終わりの崖っぷちで迎えた第4戦、打順を組み替えたG打線が初回にいきなり2番坂本の左翼フェンス直撃のタイムリー二塁打でシリーズ初の先制点。今日こそいける……とマジで思った数分後、ソフトバンクの3番柳田悠岐が巨人先発の畠世周から右翼席へ逆転2ランをかっ飛ばす。2回裏には9番甲斐拓也にも左翼ポール際に2ランを運ばれ、畠KO。4対1と冷静にみればまだ序盤の3点差だが、試合開始からわずか1時間足らずの攻防で、ホークスファンが多数を占める球場全体にハッキリと“巨人終戦”という雰囲気が充満した。