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原巨人「完敗、完敗、完敗…」不完全燃焼感だけの日本シリーズ…監督・原辰徳に残された“最後の宿題” 

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中溝康隆

中溝康隆Yasutaka Nakamizo

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photograph byHideki Sugiyama

posted2020/11/26 18:30

原巨人「完敗、完敗、完敗…」不完全燃焼感だけの日本シリーズ…監督・原辰徳に残された“最後の宿題”<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama

工藤ホークスに2年連続スイープされた原巨人だが…

 とにかく、約3カ月遅れで開幕して、ペナントからポストシーズンまで完走できて良かった。このコロナ禍の気の滅入るニュースが多い世の中で、もしプロ野球が開催されていなかったら、個人的にもっと暗く憂鬱な日常になっていただろう。こんな時に野球かよ、じゃなくて俺らにはこんな時こそ野球が必要だった。

監督・原辰徳、最後の関門

 さあ、来年だ。リベンジには日本シリーズに出続けて、絶対王者に食らいつくしかない。4連敗した巨人にあっさり独走を許したセ・リーグ各球団も含め、挑戦者なのだから。なにより、原辰徳がこの2年連続スイープの屈辱を抱えたまま引くとは思えない。振り返れば、選手時代は同期入団の石毛の存在と「打倒・西武」を追い続けた男だ。引退直前の『週刊ベースボール』95年10月30日号のインタビューでは、若大将タツノリがこんなコメントを残している。

「自分の野球人生の中で、最後にやり残したことは何だろう?と考えたときに、とにかく西武に勝ちたい。プロ13年目を終えるくらいのときに思いましたね。僕の心の中では、西武とは石毛・西武なんですよね。年は僕よりも上ですが、同期でプロに入った石毛さんのいる西武に勝ちたい。そういう気持ちが強かったですね」

 そして、実際に94年の日本シリーズで西武を破り、翌95年に現役引退する。同じように、監督となった今、「とにかくソフトバンクに勝ちたい」と願っているはずだ。WBCで世界一にもなり、三度目の指揮でリーグ連覇を達成し、巨人の監督最多勝利を更新して、阿部慎之助という自身の後継者候補にも目処がついた。正直、もはやすべてをやり遂げた感すらあった。だが、ここにきて大きなテーマができた。奇しくも、相手は黄金時代西武の左のエース工藤公康が指揮を執るチームだ。

「打倒・ソフトバンク」

 これこそすべてを手に入れた監督・原辰徳に残された、最後にして最大の関門となるだろう。昭和、平成、令和とプロ野球大河ドラマは終わりなく続いていく。

 See you baseball freak……

(文中写真=中溝康隆)

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