フィギュアスケート、氷上の華BACK NUMBER
名コーチがコロナで死去…悲しみのGPシリーズロシア大会は手術から復帰したコリヤダが優勝
text by
田村明子Akiko Tamura
photograph byGetty Images
posted2020/11/24 17:00
優勝した25歳のミハイル・コリヤダ
ロシアで起きている深刻な感染拡大
フリーの会見では、前日SPでISUが規定した感染防止ルールに違反する行為が見られたという報道があったことについての質問も出た。
グメンニクが「ぼくたちは氷の上と、キス&クライでコーチと一緒にいるとき以外は、ずっとマスクをしていました。この大会の前に、コーチも選手も検査を受けて陰性の結果が出ているので、問題ないと思います」と発言した。
現実的には、ロシアの新型コロナウイルス感染状況は決して予断を許さない。
ロシアスケート連盟は、9月から国内大会カップオブロシアをシリーズで開催して積極的に強化活動を続けてきた。だが判明しているだけでも、これまで感染したスケーターは少なくない。
ロステレコム杯に出場してペアで1位、2位となったドミトリ・コズロフスキー、アレクサンドル・ガリアモフなど、幸い重症化しなかったが何人かのトップ選手が陽性の判定を受けてきた。昨シーズンの欧州選手権銅メダリスト、アイスダンスのアレクサンドラ・ステパノバ&イバン・ブーキンは、感染からの回復が遅れてこの大会を欠場している。
フリーが終了した11月22日には、背中の痛みを理由に本大会を欠場していたエフゲニア・メドベデワも、感染したことがに報道された。
だがスケート界にとって最も大きな損失は、ベテランのペアコーチ、イゴール・モスクビンが新型コロナウイルスで11月10日に亡くなったことである。
元生徒でもある妻のタマラ・モスクビナと共に、多くのトップスケーターを指導してきたモスクビン氏は91歳だった。フィギュアスケート界に多くの貢献をしてきたモスクビン氏の冥福を、心からお祈りする。