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五味隆典42歳、尽きない格闘技への情熱とたった1つの心残り メイウェザーとも闘いたい?  

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栗田シメイ

栗田シメイShimei Kurita

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photograph byShimei Kurita

posted2020/11/20 17:03

五味隆典42歳、尽きない格闘技への情熱とたった1つの心残り メイウェザーとも闘いたい? <Number Web> photograph by Shimei Kurita

撮影ではYouTubeに登場する愛犬らら&ごんたも「一緒に写そう」とリクエスト。42歳になってもそのオーラは色あせていない

考えていた引き際、でも今は「闘いたい」

<最終戦から既に2年が経過した。膝に故障を抱え、42歳となりキャリア終焉の時は近づいているのかもしれないが、五味の心境には変化が生まれつつある>

五味 格闘技は若さがアドバンテージとなる競技で、それは間違いない。17年にキム・ドンヒョンに敗れた後に、プロとしてUFCのレベルでなくなっていると感じたことも事実としてあり、自分もどこかで身を引くタイミングがあるとは考えていた。

 ただ、世の中の流れとして、新型コロナで試合開催が難しくなったという現実もある。タラレバになっちゃうけど、コロナがなければおそらく夏くらいには試合をしていたと思う。コロナの前までは引き際について考える時間が増えたけど、逆に今は闘いたいという気持ちが出て来て、練習にも身が入ってきた。

 納得行く相手と条件が合えば、どこの国であれ、もう一度リングに上がりたい。若手の活躍を観ていると、そういう思いが強くなってきたね。対戦相手? そりゃ闘えるなら、コナー・マクレガーとやりたいけど現実的じゃないでしょ。

 極端な例だけど、そのリングが総合でなくても、ボクシングであってもいい。来月2月に(フロイド・)メイウェザーが来ることになったけど、俺、やりたいよ。だってトップに登りつめた選手だから、そりゃ闘ってみたいでしょ。

井上尚弥のパンチをよく見ろ

<五味の背中を観て育った次世代の選手達が、現在の格闘技界を牽制している。中には五味を訪ね、時に意見を仰ぐこともあるという。朝倉兄弟や、佐々木憂流迦もその1人だ>

五味 選手の中には、「五味さんに憧れて」と言ってくれる若い子もいる。それは非常に有り難いことで、素直に嬉しいですよ。海君(朝倉)の試合を観ても、ファイトスタイルが重なる部分があり、4点のサッカーボール(キック)なんかも自分に似ているな、と思う。

 もし海君が上(UFC)でやるなら、俺もそうだったし、ヴァンダレイ・シウバ選手なんかもそうだったと思うけど、肘ありのグラウンドは全く別物だから。そういう部分で戸惑いは出てくると思う。だから、グラップリングの基礎はより重視した方がいいかもしれない。

 自分から志願してきてくれる選手には、出来るだけ自分の経験は伝えたいから。ウチの選手には、井上尚弥選手(世界3階級王者)のパンチの出し方をよく見ろ、と教えている。

 マロニー戦でのカウンターフックは、すごい足の踏ん張りが目についた。体が浮き気味の状態で手もショートで、あのスナップで打っただけで倒せてしまう。ホントにちょっと手首返しただけだったから、足の踏ん張りがそれだけ凄いということ。ワンツーの撃ち方一つとっても、井上選手の強さは基礎に裏付けがある。

 コロナ禍の今、正直トレーニングメニューがかなり制限され、ジム生にもツラい思いをさせているし、経営者としても歯がゆさを感じている。だからこそ井上選手が活躍してくれると、ジムの子にも、「とにかくワンツーや基礎を徹底的に練習しろ」と強く言えるから有り難いんですよ。

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