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大の練習嫌いな“ジャイアン”からNo.1の自主練量 川崎の新人王候補・増田啓介が変貌したワケ
text by
青木美帆Miho Awokie
photograph byB.LEAGUE
posted2020/11/16 17:00
11月16日時点で13試合に出場し、チーム内5位(日本出身選手では辻、藤井祐眞につぐ3位)の78得点をあげている増田啓介
バスケットIQが高く、コートがよく見えている
この試合でいきなり“現れた”ように見えるかもしれないが、増田の持っているポテンシャルは元々相当に高い。
U19日本代表の主力としてワールドカップ10位の成績に貢献し、大学3年時には関東大学リーグで得点王。4年次にはインカレのアシスト王に輝いている。今季開幕節のアルバルク東京戦でも堂々としたプレーを見せ、佐藤HCも及第点を与えていた。
特に光るのが、プレーの引き出しの豊富さと、状況に応じた使い分けの巧みさ。
佐藤HCは「もともとバスケットIQが高く、コートがよく見えている選手」と彼を評価。千葉戦でも、アウトサイドシュートにポストアップやステップインシュートを織り交ぜ、オフェンスに変化を生み出すなど、その賢さをいかんなく発揮した。
高校時代は上昇意欲がほとんどなかった
増田の土台を作った、福岡大学附属大濠高校の片峯聡太コーチは「オールラウンダーとして育てるため、相手をよく見て、状況に応じてプレーすることを常々指導してきた」と証言する。続けて、増田の核心に近い部分を知る上で、非常に興味深い考察を話してくれた。
「高校時代の増田は『大学で活躍したい』とか『プロになりたい』という上昇意欲がほとんどなかったんです。もしそういう意欲があったら、アウトサイドのプレーばかりにこだわる『なんとなくアウトサイドができる190センチ』で終わってしまっていたかもしれない。その時々でできることを着実に身につけていった結果が、プロの世界で生きているのかなと感じます」
増田が大学3年の秋、幼い頃に『将来の夢はバスケ選手』というような目標を掲げていたかと尋ねたことがある。すると増田は「そんなこと全然思ったことないし、なれるとも思ってないです。Bリーグでプレーしたいとも全然思ってません」と、一切の謙遜の素振りも見せずに言った。